政治とは異なり、オーナー企業の場合、自身のお金でリスクを取って商売をしているわけですから、子どもを後継者の据えた時の最終責任は自身が負うことになります。国民の税金で生活している政治家とは根本的に異なりますから、政治における世襲とビジネスにおける世襲を同一基準で評価すべきではないと思います。
しかしながら、企業もある種の公器であり、世襲の弊害についてはいろいろと指摘されているのも事実です。オーナー企業のトップが家族を後継者に選ぶには、やはり慎重さが求められるところであり、こうした観点から家族は後継者に据えないと公言するオーナーもいます。
筆者は以前、コンサルタントをしており、あるオーナー企業に経営のアドバイスをしていました。
その企業のトップは会社を継がせるつもりで、息子さんを入社させていましたが、世襲の弊害をよく分かっているのか、特に息子さんには厳しく接しているように見えました。
ある時、その息子さんから筆者は相談を受けたのですが、その内容は以下の通りでした。
「自分は社長の息子だから後継者になれるのであって、フェアな競争をしたわけではありません。だからこそ、自分は父親を超える実績を上げなければ、後継者としての資格はないと考えています」「しかし、父は私に厳しく、新しい事業プランを提案しても、100年早いといって相手にしてくれません」「父はあなたのことを信頼していますから、もし私の事業プランが面白いと思っていただけるのなら、父に口添えしてもらえないでしょうか」というものでした。
確かに彼はコネを100%利用しています。そもそも社長の家族ではない一般社員の人が、外部のアドバイザーである筆者に対して、気軽に口添えなど頼めるわけがありません。しかしながら、彼はこうした状況を十分に理解した上で筆者にお願いをしています。
このような人物であれば、社内外ともに、世襲やコネであることも十分に許容されるのではないかと思います。結局のところ世襲やコネに対する批判を跳ね返すためには、親の教育と本人の心構えが何より重要であることが分かります。
冒頭に紹介したタレントさんは、残念ながら親御さんがそうした教育を十分に行っていなかったという点で、本人にとっても少々不幸なことだったのかもしれません。
前回記事「円安傾向いつまで続く?日々のニュースから、為替の「大きな流れ」をつかむコツ」はこちら>>
- 1
- 2
Comment