「カエルの声がうるさい」ナナメ上の苦情からわかる、日本社会の変化とは_img0
写真:Shutterstock

「カエルの鳴き声がうるさい」という苦情が話題となっています。一般的に考えてカエルというのは鳴くものですから、こうしたことまで苦情にしてしまうと社会生活が成り立ちません。しかしながら、昭和の時代とは異なり社会は複雑化していますから、違った考えを持つ人たちが対立するケースはさらに増えてくると思います。

 

単に非常識な苦情ということで終わらせるのではなく、社会全体のコミュニケーションを通じて、建設的に問題を解決していく姿勢が必要でしょう。

この話題の発端は、あるツイッターの利用者が、風で飛んできたビラの内容を投稿したことです。

そのビラには「田んぼの持ち主様へ カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。鳴き声が煩くて眠ることができず非常に苦痛です。騒音対策のご対応お願いします。近隣住民より」と書かれていました。投稿主は「世知辛い」とコメントして画像をアップしたところ5万を超える「いいね」が押されるなど、大きな反響を呼びました。

田んぼでカエルが鳴くのは当たり前だと思う人が大半だと思いますが、カエルの鳴き声が騒音に当たるとして損害賠償を求めた裁判も現実に起きています。カエルの声は自然の音であり、受忍限度は超えていないという常識的な判決が出ているようですが、こうした音を騒音と捉える人は一定数、存在していることが分かります。

近年は都市化が進み、街中での生活しか知らない人が増えていますから、こうした人が田んぼの近くに引っ越すと、カエルの鳴き声の大きさに驚く可能性は十分にあり得ます。筆者は米どころと言われる宮城県の出身で、子どもの頃は、ちょっと郊外に行くと延々と田んぼが広がっているのが当たり前でした。春になると田んぼからはまさにカエルの大合唱が聞こえてくるのですが、初めて聞く人にとっては結構びっくりするような音量かもしれません。

カエルの声までなくせと主張する人を擁護するつもりは毛頭ありませんが、都会の生活しか体験したことがない人にとっては、想像以上にショッキングなことかもしれないわけです。

日本の場合、宅地造成についても少々特殊な事情があります。

 
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