多様性はもともと存在するもの
そもそも多様性に配慮”しすぎ”という表現自体に筆者は懐疑的です。もともと偏ったものを少し是正しようとすると、「過度な平等だ」なんて反発があったりするものです。実際はまだまだ色んな場面で公正さなんて実現していなくて、一部の属性の人たちは機会を得られずにいます。といっても、そもそもハリー・ベイリーは人種関係なく選ばれたのですから、多様性に配慮しすぎという批判はお門違いかもしれません。
実写版『リトル・マーメイド』では、7つの海の人魚が登場します。アジア系もいれば、アフリカ系もいます。人魚界だけでなく、人間界もそう。さまざまな肌の色の人が登場します。もしかしたらそれも多様性に配慮”しすぎ”なんて言われるのかもしれませんが、多様性は配慮する前にすでに社会にあるものだと思うのです。
そんな色んな意味で話題の実写版『リトル・マーメイド』ですが、一旦色んな情報は置いておいて、映画館に足を運んでみてください。誰もが一度はみたことのある物語が、迫力のある音楽や映像で展開され、めちゃめちゃ興奮します。子どもの頃見た物語を改めて大人になってみると、感じ方もまた違ってきます。例えば海の魔女・アースラは、ザ・悪役というビジュアルでアリエルの恋を邪魔する存在ですが、アリエルの父・トリトン王に海の王国を追放され、薄暗い洞窟に追いやられたという経緯があります。そんな経緯を知ると、ちょっと感情移入してしまうんですよね。確かに悪いやつではあるのですがアースラの歌はとてもユーモラスで、映画を盛り上げてくれる憎めない存在でもあります。アニメーションと同じ部分も違う部分もあって、また違った味わいがあると思います。
ハリー・ベイリーの歌声を聞きたい方は、字幕版をご覧ください。
美しい歌声をもち、人間の世界に憧れている人魚アリエル。掟によって禁じられているにも関わらず、ある日彼女は人間の世界に近づき、嵐に遭った王子エリックを救う。この運命の出会いによって、人間の世界に飛び出したいというアリエルの思いは、もはや抑えきれなくなる。そんな彼女に海の魔女アースラが近づき、恐ろしい取引を申し出る。それは、3日間だけ人間の姿になれる代わりに、世界で最も美しい声をアースラに差し出すことだった…。
文・構成/ヒオカ
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