目まぐるしく変わる「映え」の定義
——「Z世代」がバズワードになって、Z世代へのイメージがひとり歩きしていますよね。本人たちはZ世代への過度な期待を感じたりしているんでしょうか。
長田:気にしていない子もいますし様々な反応があります。中には嫌がってる子もいますね。「Z世代」って大人が持ち上げて、Z世代に全部やらせようとしている。環境問題にすごく関心があって、社会課題にすごく熱心でとよく言われますが、みんなそうなわけないじゃん、という本音も聞こえてきます。会社で、「Z世代だから社会改革に関心高いでしょう」みたいに言われてめちゃくちゃ嫌だったという話も聞きますね。変に大人が期待しすぎて、生きづらくならないで欲しいなと思います。細分化多様化していて一括りにできないことを前提に、Z世代の特徴や傾向をお話しするようにしています。個に目を向けることを忘れないでほしいですね。
——企業側の若者のイメージが10~15年前ぐらいまで止まっているという話が印象的でした。若者が本当に好きなピンクはちょっとくすんでいるピンクだけど、大人が思い浮かべる若者が好きなピンクはショッキングピンクだった、という話も本の中で出てきますよね。大人の思い違いは、他にどんなことがありますか。
長田:若者に対する思い違いで一番多いのは「映え」の定義ですね。5年ぐらい前だと、羽根が描かれている派手な壁の前で写真を撮るという感じだったんです。今羽根が描かれた壁を若者に向けて出してしまうと「なんか古くて恥ずかしくて撮りたくない」っていうくらいなんです。
——え、5年も前なんですか?!
長田:流行ったのは2017年頃です。今の若者にとっての「映え」ってすごくナチュラル。あんまり派手な壁の前っていうよりも、自然とかちょっと奥行きのある背景で撮りたいんです。街を歩いていても、デザインがアップデートされていないと感じることがあります。Z世代はメディアや世の中に注目されているので、企業の方も一応Z世代のトレンドは結構知ってらっしゃるんです。でも、若者の感覚の捉え方が若干違うときがあります。例えば、「タイパ(タイムパフォーマンス」をすごく重視するのが若者で、”合理的”に生きたいからそうしていると思われているんです。でも本当は、自分の大事にしたい時間を捻出したいから、必要ないことをどんどん時短していくという感覚。たっぷり時間を使いたいところがあるからこそメリハリを大事にする。そんな風に、いろんな事象で若者に対する誤解が生じていることがあります。
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