「負けないように僕のやり方で」若きプリンス・甲斐翔真、ミュージカル界を無双中。影響を受けている存在は

これから知っていくべきことがたくさんある。だからこそ、愛を求める

甲斐：僕はまだ25年しか生きていないので、これから知っていくべきことがたくさんあると思うのですが、クリスチャンの年齢と僕はほぼ一致しているんです。彼もまた、まだ何も知らない、青さのある青年ですね。だからこそ、愛を求めていたり、自分の居場所を求めていたり。でも、コミュニケーション能力はめちゃくちゃ高くて。一瞬でその場に“いる”ことができる人物です。どんな状況でもスッと溶け込むことができる才能の持ち主で、自然と人が集まってくるような、自然と目が行ってしまうような、不思議なチカラを持った人間だと思っています。

――それを聞いていると、甲斐さんもまさにそんなタイプだと思います！

甲斐：(笑)。僕、海外に行くと心が開放されるんです。何と言うか、空港の出国審査を出ると別人格が降りてくるというか……。日本にいる僕とニューヨークに行った僕とはまるで別人な部分があるように、出身がオハイオ州という設定のクリスチャンがパリへ行ったときもそうだったのかなと。そういう“影響されている感じ”みたいなものは似ているのかもしれません。

今回の目玉のひとつでもあるのがキャスト陣。甲斐さんとＷキャストでクリスチャンを演じるのは、井上芳雄さんです。まったく違うクリスチャン像になりそうで、今からその違いが楽しみなのですが……。

甲斐： 芳雄さんは、説得力がすごい！　クリスチャンの登場シーンにロートレックとサンティアゴに初めて会うところがあるんですけど、そこでクリスチャンは美声で人々を魅了するんです。もう、芳雄さんのその歌を聞いたら「そうなっちゃいますよね！」って思える。あとは単純にダブルキャストの相手ということで当然なのですが、大先輩の芳雄さんが僕と同じ役を演じられているのが何だか奇妙な感じ(笑)。「あれ、芳雄さんが僕と同じことをしている！」って稽古を観るたびに変な感覚に襲われています。

――井上芳雄さんという大きな存在がWキャストというのは、どうしても意識せざるを得ないと思うのですが、ご自身の中で、「こんなふうに役作りしていきたい！」というのはありますか？

甲斐：井上芳雄さんはミュージカル界を牽引している方。テレビにも出られているし、とにかくミュージカルを盛り上げてくださっている方だし、素晴らしい才能の持ち主でもあります。負けないように、僕のやり方で挑んでいきたいです。今の段階にいる自分をクリスチャンに投影していけばいいのかなと思っています。常に“現場”から影響を受ける役作りをするつもりです。

めちゃくちゃ鍛えるとか、そういうのはしなくてもよさそうなので(笑)。一幕、二幕の全体を見通してくるとクリスチャンが魅力的に映る方法というのがあると思うんです。小手先でやるよりは、すべての流れを俯瞰で見たときに「ここはこんな感じで行こう」とか「ここで出し過ぎちゃうと後々キツくなりそう」とか(笑)、そういうのがあると思うので、自分の中でバランスは取っていきたいと思っています。

『ムーラン・ルージュ！ザ・ミュージカル』は特に現実世界から連れ出してくれる作品。刺激が欲しいとか、感動したいとか、すごいモノを観たい！　と思っている方にはピッタリだと思います。ナマで観ると心に残る体験になると思います。ぜひとも足を運んでいただきたいです！