レッスン④ 知っておくと便利なキラーフレーズ

「エレガントに毒を吐く」ための4つのレッスン。京都の人のイケズに学ぶ【中野信子さん】_img0
写真:Shutterstock

これはもう、表題そのままで、キラーフレーズのローテーションでも意外といける、という取り入れやすい方法です。ぜひ使っていきましょう。

 

●キラーフレーズ1:「おもしろい」

「おもしろいこと言わはるわぁ」
「こないだ、おもしろいことがあって」
「あの人、おもしろい人やね」
「おもしろい味ですね」(おいしい、と手放しで絶賛できないけど褒めなければならないとき)

「おもしろいこと」は原義的にはポジティブな言葉ですが、イケズにおいては基本的には「理不尽なこと」「奇妙なこと」「理屈の通らないこと」などを指し、ネガティブな意味で用いられます。

たとえば「結婚しないの?」「彼氏いないの?」というセクハラ質問に対してのアンサーとしても、
「おもしろいことをおっしゃいますね?」
という返し方があり得ます。もう同じことを二度とはさせませんよ? という強い意志を、この形を使うことでエレガントに表現することができます。

似た言葉で、「個性的」「ユニーク」も、
「個性的な味」
「あの人の服装、ユニークだね」
など、同じように使われます。
 

●キラーフレーズ2:「元気」

「さっき隣にいた人、元気やったなぁ」
「坊ちゃん、元気でよろしな」

元気、ももとはいい意味の単語であるところがポイントです。「元気」は「おもしろい」と一緒で、イケズの頻出単語といっていいかもしれません。

これも、イケズ的に使われる場合は「騒がしい」「うるさい」の意味になります。
全般的にいえることですが、文脈さえ異なれば、京都人でももちろんこの単語をいい意味で使う場合もあるのです。どちらの使い方なのか、はっきりとさせることなしに、受け取り手の文脈の理解度に応じてとらえ方が変わるようにものを言う、というのが京都式の工夫であり、おもしろさといえるでしょう。