ダイエット中でも罪悪感なく楽しめると人気の、人工甘味料を使った低カロリー製品。ですが先日、世界保健機関(WHO)が、体重管理や病気予防のための人工甘味料の摂取を控えるように勧める指針を発表しました。中には、発がんの可能性がある物質に分類された人工甘味料も。今回は、人工甘味料の健康リスクについて、山田悠史先生に聞きました。

 

教えていただいたのは……

 

山田 悠史
米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビライブニュースαレギュラーコメンテーター、NewsPicksの公式コメンテーター(プロピッカー)、コロナワクチンの正しい知識の普及を行うコロワくんサポーターズの代表。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。
Twitter:@YujiY0402


編集:体重も気になるしアルコールも控えたい……という時に、ノンアルコールチューハイを買うことがあります。ただ、甘さがあるものは、カロリーゼロと表記されていても人工甘味料を使用している場合もあり、今回の発表がとても気になります。甘くて美味しいのですが……。

山田:甘いものは美味しいですよね。私もスイーツが好きなのでよくわかります。ところで、舌が甘みを感じるメカニズムって、すごく面白いんですよ。舌の上には甘みを感じる受容体があり、その受容体に砂糖がくっつくと、「甘い」という情報を脳に伝えるのです。人工甘味料も砂糖と同じ仕組みで甘みを感じるのですが、カロリーを持たないのですよね。

編集:そうなんです。「甘いのにカロリーゼロ」ということで、罪悪感なく飲んでいたのですが……。WHOのガイドラインでは、長期的に摂取した場合、体重を減らす効果がないだけではなく、脳卒中などの心血管疾患や2型糖尿病などのリスクが上昇する可能性が指摘されていますよね。

ということは、砂糖を人工甘味料に置き換えても、あまり意味がないのでしょうか……?

山田:人工甘味料に関しては、これまで様々な研究が行われてきました。その中から、砂糖と置き換えた時にポジティブに働くと思われているものからご紹介しますね。