砂糖を人工甘味料に置き換えるメリットはあるの? デメリットは?


山田:今回WHOは、280件以上の研究報告をもとに、人工甘味料が「長期的には体重管理に役立たない」として、体重管理や病気予防のための摂取を控えるよう、指針を出しましたよね。ただ、実は虫歯のリスクに関しては、砂糖を人工甘味料に置き換えることにより、減少するのではないか、という関連が報告されています。

編集:なるほど! 虫歯になりにくいということは、たとえば、お子さんがいらっしゃる方には朗報と言えるのでしょうか……?

山田:虫歯に関してだけいえば、そうかもしれません。ですが、お子さんの場合、砂糖・人工甘味料問わず、成長過程で甘いものを摂取し続けていると、食習慣に影響を及ぼします。舌にある甘みの受容体から脳への信号が入り続け、結局は甘いものを欲する欲求が育ってしまうと考えられています。

編集:「カロリーゼロで虫歯になりにくい」ということで砂糖を人工甘味料に置き換えても、甘みを感じていれば、甘いものが好きになってしまう、ということですね。

山田:そうですね。そして、砂糖の摂取自体、2型糖尿病を代表とした生活習慣病との関連がよく知られています。いくらカロリーゼロとはいえ、人工甘味料を口にし続けていれば、結果的に砂糖の消費が増加する、とも言われているのです。

編集:なるほど......! 

山田:また、人工甘味料は、砂糖とはまた違ったメカニズムで血の塊、つまり血栓を作ってしまう作用があるのではないか、という報告も出てきています。人工甘味料特有の作用として知られたこうした報告が、心臓や血管の病気にマイナスに働くのではないか、と言われているゆえんの一つなのかもしれません。

編集:今まで「医者のいらないラジオ」で、血栓ができると、脳梗塞や心筋梗塞など色々な病気の発生につながる、ということを学びました。やはり、人工・天然を問わず、甘いもの全般を少しずつ控え、生活習慣病を予防することの大切さを、あらためて感じます。