たとえば、向井くんの元カノ・美和子(生田絵梨花)は、「ずーっと守ってあげたい」と言われて不服そうな顔をしていたけれど、その言葉を待ち焦がれている人もいる。かと思えば、洸稀は「守りたいなんて言われたら、見下されてるな〜って思っちゃいます」と言っていました。
向井くんの失敗は、女の子に「守ってあげたい」と言ってしまったことではない。美和子は、どんな言葉をかけられたらうれしいか? どんな言葉をかけられたら傷つくのか? を見極められなかったこと。“女の子”だからといって、みんながみんなプリンセス願望があるわけじゃない。男性に守られるのではなく、足並みをそろえて歩きたいと思っている人だっている。
また、洸稀の「結婚とか出産って、誰もが経験しておきたい人生のイベント……みたいな感覚ない?」という台詞も、ブッ刺さりました。たしかに、ある程度の年齢になると、結婚しなきゃ、子どもを産まなきゃって、誰かに急かされているような気持ちになります。みんなが持っているピースを、自分だけが持っていないような気になって、勝手に不安になる。
ただ、だからといって、軽々しく踏み出すことができないのが、結婚や出産。そのあとの、「文化祭は本番の日が来れば終わるけど、結婚とか出産というイベントは、一度開催してしまったら、そう簡単には……ねぇ?」という台詞も、分かるぅうううう! となりました。
大人になると、人生の選択肢が急増する。結婚するか、しないか。子どもを産むか、産まないか。仕事を続けるか、やめるか。結局はどの道を選んでも後悔するし、選ばなかった方が輝いて見えるのは当たり前なのかもしれません。でも、そのなかでたったひとつでも“欲しい”と願えるものに出会えればいい。洸稀の「みんな、欲しいものはちゃんと“欲しい”って願ってると思う」という台詞は、多すぎる選択肢を前に戸惑った時、指針となってくれる気がします。
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