ミモレ読者の代表として〔ミモレ編集室〕メンバーが綴る「私にとってのミモレ」。
今回はメンバーのサンディさんのエッセイをご紹介します。
8年前、ミモレと出会ったきっかけは、大草直子さんでした。
ミモレ創刊以前からファンだった大草さんが発信するコンテンツに惹かれて、仕事の合間にミモレを訪れるのが日課になりました。エディターやブランドPRの皆さんのハイセンスな装いに心をときめかせたものです。
ええ、当時はまだファッションに興味がありましたとも……(過去形)。
創刊当時のミモレは、ミドル世代向けファッション誌のウェブ版という印象でした。ところが、あれよあれよという間に、コンテンツの種類が多様化し、編集長が大森さんになった頃からは、社会問題も扱うようになり、コンテンツの内容も、“憧れを抱く他人事”から、より身近な“自分事”にシフトしていったように思います。
読者の私はといえば、どんどん進化するミモレを尻目に、ミッドライフ・クライシスからのコロナ禍を経て、価値観は大きく揺らぎ、何を置いても“健康第一”なお年頃に…。ファッションやグルメ情報にアンテナを立てていた平和な日々は、加齢と更年期症状と親の介護に悩まされる日々に様変わりしました。
正直、この10年でここまで劇的に、心身と周りの環境が変わったのは初めてのことで、変化の大きさに戸惑いを隠しきれません。お腹の周りについた脂肪も、上がらなくなった肩も、何もかもが忌々しいのです。先日は、年上の友人に”更年期は10年続くわよ”と諭され、絶望の淵に立ったばかりです。
しかし、泣けど喚けど中年の人生は続きます。
加齢に前向きな自分を装い、どうにか現実と折り合いをつけて生きる私の心を軽くしてくれる友人のような存在。それが、私にとってのミモレです。現実の友人との違いは、アクセシビリティの高さでしょう。まるで、いつでもどこでも好きな時に会いに行ける親友/カウンセラーのようです。
日々アップされるさまざまな記事を読んでは、「まぶたが垂れて目が開かなくなるのは、普通なんだな」と安心したり、「若くして介護を経験する人もいるんだな」と目頭を熱くしたり。自分にも起こり得る未知の世界をのぞき見し、自分と似た経験をした人の記事に共感し、時に笑い、時に涙していると、いつしか心が浄化されているのです。
願わくば、さらに変化のスピードが加速するだろうこれからの8年も、ミモレには読者のインサイトをズバズバ見抜き、読者の隣で伴走し続けてほしい。そしてあわよくば、ミドル世代応援メディアに触発される形で、読者の私も老化に抗いながら進化していきたい。そう願わずにはいられません。
サンディさん
1973年生まれ。フリーランス翻訳者を経て、翻訳会社を経営しています。
専門分野は、映画、ドラマ、ファッションです。
映画を観る、本を読む、ヨガをする、登山をする時間が好きです。
残りの人生をどう生きるか模索中に、ミモレ編集室に参加しました。