ミモレ読者の代表として〔ミモレ編集室〕メンバーが綴る「私にとってのミモレ」。
今回はメンバーのえこさんのエッセイをご紹介します。
日本の何が恋しい? スイスに移住してから、現地の友人にそう聞かれることがあります。わたしの答えは、コンビニとウォシュレット。そう言うとたいてい「友だちでも和食でもないんだ!」と驚かれるのですが、じつは説明するのが大変そうなので言わないでいる(そして、言ったら多分もっと驚かれる)恋しいものがもうひとつ、あるのです。
それは、オフィスの女子トイレ。仕事の合間にトイレに行き、そこで二言三言、同僚と言葉を交わしたり、髪型やファッションをさりげなくチェックしたり。あのちょっとした時間がこんなにも恋しくなるなんて、仕事をやめ海外に来てみるまでは、思ってもみなかったのでした。
「それ、どこの?」「今、〇〇にハマってて」「その髪型、いいじゃん」「下のコンビニの限定スイーツ、もう食べた?」などなど。あの等身大でリアルな情報源は、ここにはありません。子どもがいたら朝晩の送迎で日本人のママ友と顔を合わせる機会などもあったかもしれないのですが……かといって、顔つきも体型も文化も違う現地の友人にそれを求めるのも無理があります。
おなじ日本人の同世代の女性が、日々、何を考え、何を着て、何に悩み、何を観て、何を読んで、何を食べているのか? それもモデルさんや有名人ではない、同僚のような普通の女性たちが、どんなふうに日々暮らしているのか? リアルに感じられる場が急になくなってしまい、寂しい思いをしていた時に見つけたのが、ミモレでした。
わたしにとってミモレは、「オフィスの女子トイレ」的存在である、と言っても過言ではありません。いや……。バタやん先生の教えに「過言ではないと書く時は、たいてい過言」というのがあったことをいま思い出しましたので、言いなおします。わたしにとってミモレとは、あのオフィスの女子トイレに存在していた「等身大でリアルな情報源」なのです!
ミモレ編集部の皆さん、ミモレ読者の皆さん、ミモレブロガーの皆さんのことは、(大変、勝手ながら)女子トイレで顔を合わせる同僚のように思いつつ、今日もミモレをのぞいています♪
えこさん
二十年ほどIT業界で働いたのち、スイス・ジュネーブに移住。フランス語が幼児レベルなのをきっかけにハマった《絵本》と《児童文学》、そして《ミモレ》が心のオアシスです。