日本で感じた「周囲の視線」の影響
当初は1年くらいとイメージしてオーストラリアに渡った明莉さん。仕事は順調そのもの、声がかかりそのまま社員として就職。8年を過ごします。
さまざまなタイミングが重なり、智明さんと明莉さんは共に帰国、そのタイミングで入籍しました。日本でゴルフのプライベートレッスンコーチとしての仕事をスタートした智明さん。明莉さんは英語力を活かして外資系の事務スタッフとして働き、共働きの結婚生活がスタートします。
「私と彼は8年も一緒にいたので、結婚しても何かが大きく変わることはないと思っていました。ふたりとも言いたいことを言うタイプなので、ケンカもたくさんしていて、今更相手の知らない部分なんてあるとは思ってもいなかったんです」
確かにおふたりは長く一緒にいましたが、日本という環境で、生計を同一にするのは初めて。そこで夫となった智明さんの新しい側面が見えてきたと言います。
「オーストラリアにいるときはほとんど言われたことがなかったのですが、日本に帰ってきた途端『随分年下のご主人でしかもイケメン、心配じゃない?』とか『ゴルフコーチって儲かるの? 彼、呑気そうだけどやっていけるの?』ということを直接、あるいは婉曲に言われるように。最初はぽかんとしていたんですけど……」
智明さんは、プロゴルファーを目指して留学しましたが、途中怪我もあり、コーチとして生計を立てていました。腕前は相当でしたし、オーストラリアでもコーチの経験が長かったので、すぐに評判になり、仕事は比較的順調でした。
しかしおもな顧客は富裕層。リクエストも高く、オーストラリアから来た2人が当初想像もしていなかったほど、ゴルフ場以外のシーンでサービス業の側面が強くなったと言います。
「結婚2年目で子供が生まれ、派遣スタッフだった私は一度離職しました。彼がレッスンの時間以外はずっと一緒です。すると仕事ぶりが見えすぎるくらい見えてしまって……。彼はスケジュール調整なども全部ひとりでやっていて、生徒さんが変更やキャンセルをするとすぐに調整し、練習するところもおさえ直します。もう1日中、ずうっとスマホでやりとり。決まった休日もなく、こちらからすると育児を手伝ってほしいときもスケジュールが立ちません。ずっとスマホを見ていますし、ファミレスに行ってもずっと電話でイライラしてしまいます。
それでも、コーチとして人気があるのは嬉しいこと。何よりそれで稼いでくれるのだからと、私も何も言わないようにしました。
ところが、ある日、見てしまったんです。ゴルフのレッスンの出張に行くと言っていた彼が、きれいな女性3人に囲まれてバーベキューしている写真を」
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