ファッションスタイリスト佐藤佳菜子さんが日常に感じる思いを綴る連載です。


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以前、10歳と11歳のヨークシャーテリアの姉妹メアとマリが、保護犬として我が家にやってきたことをお話ししました。こんなかわいい犬たちが、タダ同然でやってきたなんて、我が家はラッキーすぎる。ふたりは大人女子たちなので、家庭内での作法も問題がなく、スッと家族に溶け込んで何事もなかったかのように過ごしている。ただ、かれらには来たときから問題があった。それは、歯。

ヨークシャーテリアの姉妹です。

ふたりとも、生涯一度も歯磨きをしたことがなかったのではと思うほど、真っ黒でボロボロの歯をしていた。2匹は華奢なスモールボディにかわいい顔で、普段はまるで天使のごとくなのに、ひとたび口を開けたら、WELCOME TO THE HELL。ハロウィンですか? 今日は。獣医さんにも、こんな歯をつけていたらいずれ歯茎が膿んで、鼻の奥に方も影響してくる。と言われていた。

閲覧注意ですが、これがきた時の歯。

もともとウチにいたピグミもピグミで、最近、おしりにできものが見つかって、おそらく悪性ではないとは言われていたものの、詳しくは採ってみないとわからないという状態。13歳半という年齢もあり、手術をするかどうか迷っていた。

しかし毎月、様子を見ながら戦々恐々として暮らしていくなんて、そもそもわたしの性に合わない。それぞれに爆弾を抱えながら、老後を過ごすぐらいなら、もういい、やっちゃおう、と腹を決めた。ピグミは、もう人生最後の手術にしようと決めて、眠っている間にやってほしいことを、リストアップした。年齢とともに血管が伸びてきてしまっていた爪を切る。お腹にあったニキビを取る。歯茎にあったできものとグラグラの歯の処置もしたい。老後、なるべく快適に暮らしていけるように思いつくことを全部やりたい。

つやつやのピグミ。

かかりつけの動物病院の院長先生と手術前に話をしたとき、「あと4年、彼女を生かすのが僕の使命です」とまっすぐ目を見て言われた。17歳半目指しましょうと。ピグミがその話を聞いていたのかは分からない。わたしはそれを聞いただけで、なんとなく感無量だった。そのためには、やはり将来がん化する可能性もある腫瘍は採っておくに越したことがないということで、多少、ぐらついていたわたしの気持ちもそこで固まり、納得した。

 
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