「給食」でほっとできる食べ物は「白米」のみ!?

「運動会」が楽しめない──感覚過敏と感覚鈍麻が抱える、理解しにくい“しんどさ”とは?_img0
 

ちなみに、感覚過敏や感覚鈍麻の人は、「運動会」という特別なイベントに限らず、「給食」という毎日の習慣にも苦痛を覚えているようです。

「食べ物を口に含んだときに、いろんな味が口の中で暴れる感じがするし、その味の襲撃で頭痛がしたり、気持ち悪くなったりする。白米は味がシンプルで食べても頭痛とか吐き気とかしない。だから給食で白米があるときはほっとする。とりあえず、おかずは無理でも白米を食べていれば先生にも注意されない。給食がパンのときや、たけのこごはんなど味がついたごはんのときは、食べられるものがまったくないから何もやることがなく、ひたすら時間が過ぎるのを待つだけになってしまう」

「以前、ドンマちゃんが感覚鈍麻でおなかが空く感覚がよくわからないって話してくれたことを思い出した。おなかが空いていないのに、食べろって言われるのも苦痛だろうな。僕は食べたいと思っても食べられないことが多いけど、ドンマちゃんはそもそも『食べたい』という気持ちが起こらないそうだ。(中略)空腹は感じるのに食べられない僕。食べられるけど空腹を感じないドンマちゃん。理由は反対だけど、僕たち二人にとって、給食の時間は長くて暇だ」

これは感覚過敏を持つカビンくんの心境を書いた個所ですが、彼は好き嫌いが激しいとかアレルギー体質とか、我々が即座に思い浮かべるこれらとはまた違った理由で給食を憂鬱に感じているようです。もちろん、感覚鈍麻を持つドンマちゃんも然りでしょう。

 

いったい、感覚過敏や感覚鈍麻の人の身体の中ではなにが起こっているのか? 次ページからはその解説を『カビンくんとドンマちゃん』より抜粋いたします。

これを読むと、運動会でテンションが低い子に対して「協調性がない」とか、給食を残しがちな子に対して「好き嫌いが激しい」などと安易に思えなくなるでしょう。特殊な感覚特性を持つ人への理解を深める意味でも、ぜひご一読ください!