僧侶、ラッパー、バーテンダー、経営者…「住職」を「十職」に


——古溪さんはお坊さん以外にさまざまな活動をしているそうですね。どんなことをしているんでしょうか。

古溪 最近自分の会社を立ち上げました。あとはラッパーでもあり、バーにも立っています。お坊さんのことを住む職と書いて「住職」と言うんですよ。常にお寺に住んでいる職業だから。でも僕は、10個の職と書いて十職(じゅうしょく)もありだと思うんです。

「寺子屋」って言われたように、お寺って地域のいろんな人が集うサードプレイスみたいな場所だったんです。みんな住職に相談するんです。進路どうしようとか、結婚相手どうしようって。何でお坊さんに相談するかっていうと、お坊さんがいろんなことを知っているから、知恵袋的にお坊さんに聞きにくるんです。

古溪光大さんのYouTubeチャンネルより、「般若心経 現代語訳 rap ver.歌ってみた」。僧侶としてだけでなく、ラッパーとしても活動する。

古溪 でも、ビジネスのことがわかりませんっていう人のところに、ビジネスマンが相談しに来ないですよね。そう考えると、お坊さんこそより一般社会のことを広く知っていなきゃいけない。そのためには、10個ぐらいの職業をやるぐらいの感覚が必要なことだと思っているんです。だから、いろんなことをやっています。

 

そうすると拠り所がいっぱいあるんです。片足に全体重をかけて立っていたらしんどい、だから両足に均等に体重をかけて人間は歩くわけです。その足っていうのは、生活の中にいっぱいあっていい。自分の依存先を緩やかに複数持っておく、ということを意識しています。それが結局本業に良い影響を与えると思うんです。