ママからママ友へ。信頼の輪が広がっていったAGRIKO

 

——現在9クール連続でドラマにもご出演ですが、ご多忙な中で会社経営もするというのは本当に大変ですよね。サポート陣も本当にすごい方たちなんだろうなと思います。

小林 やっぱり、自分だけではなかなかできないですよね。理解してくれるマネージャーさんだったり、今日も在宅で働いてくれているスタッフがいたり。たくさんの女性スタッフが活躍してくださっていて、がっちり支えてもらっている感じです。

——そんな優秀なスタッフさんたちを、どうやって見つけてきたんですか?

小林 一応一般公募もしていたんですけど、元々働いてくれているスタッフのママ友だったり、信頼できる周りの方々にお声掛けいただいたりして、という感じですね。

——事業をやるとなったときに、例えば農業だけでも、すごく社会貢献度が高いことだと思うんです。小林さんは「農福連携」やスマート農業など、新しい形を模索しながら農業に関わっていらっしゃいますよね。

小林 農家さんと触れ合ってきた9年の中で、農業は思った以上にすごく大変だということ、専門的な技術が必要だということを知りました。農業って単純な肉体労働ではなくて、知的労働が担う部分が非常に大きいんです。例えば、どうしたら一筆書きで田んぼに稲を植えられるかを考える必要があったり。農家のみなさんは、本当に難しいことをされているんですね。私には真似できないので、生まれ育ったこの東京で、自分にやれることは何か? を考えた結果、今のAGRIKOの形になっています。

 


「今まで見たことのない農業の形」に挑戦したい

循環型の屋上ファーム「AGRIKO FARM」では、リーフレタス、サラダ小松菜、水菜などの葉物野菜やハーブの栽培、イズミダイなどの養殖を同時に行っている。

——農作物の栽培を「都会のビルの屋上で行う」ということにも、こだわりがあるのでしょうか?

小林 最初は地上で農地を探していたのですが、都内で農地を見つけるのはなかなか難しくて。そんなときに小川珈琲さんとのご縁があり、「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」の屋上にAGRIKO FARMを開園することになりました(AGRIKO FARM 桜新町)。せっかく都市でやるんだったら、今まで見たことのない農業の形に挑戦したいと思ったんです。

私自身、食育が豊かな家庭で育ったんですけど、自分みたいな子どもたち、つまり農業を担いたいと思う次世代が生まれるような、楽しめる農園ができないかなと思って、今の「アクアポニックス(※)」という栽培方法の導入につながりました。

※アクアポニックス=水耕栽培と養殖を掛け合わせた、次世代の環境保全型農業。魚、バクテリア、野菜、それぞれが元気に過ごせる共生環境を作り出す、小さな地球のようなシステム。

——食育が豊かなご家庭だったのですね。

小林 イチゴ狩り、ブドウ狩り、竹の子堀りには、しょっちゅう連れて行ってもらいました。みかんもいっぱいもぎに行って。今でもイチゴ狩りは年2回ぐらい行ってます。家族の恒例行事なんです。