できないこともあるけど、できることに目を向ける
——『やさしいシロップ LEMON VERBENA』という商品のイラストも、障がい者の方が描かれたそうですね。
小林 実際に農園で作っているものを6次産業化するときは、「生産したから、あとは知らない」じゃなくて、やっぱりコンセプト段階から自分たちで描いてみようと。売り上げも、インセンティブとして返ってくるというシステムにしています。
——障がい者を雇ってあげる、みたいなことでは全くなく、一緒に働くことでその方たちの特性が活かされるんですね。
小林 人にはそれぞれ得手不得手があってできないこともあるけど、できることを伸ばしていくことを「ストレングスの視点」っていうんです。強みを伸ばす、得意なことをやる、できるところで協力するっていうのが大事だと思います。障がい者の方々も私たちと同じように、得意なことで力が発揮できる仕組み作りがしたくて、そこにはこだわっています。
減点方式でやってしまったら、私なんて何も残らない
——人事制度では、「苦手なこと」をマイナス評価することがありますが、そうした減点方式ではなく、得意なことを伸ばしていくというのはすごくいいですね。
小林 例えばiPadは使えないけれど、すごく絵が上手で、集中して絵を描くことが好き、という方もいます。別にiPadが使えないことなんて、大したことではありません。その人にしか描けない絵を描いてもらうことで、素敵な商品パッケージができたりするんです。
減点方式でやってしまったら、私なんて何も残らないっていうくらい減点が結構多いです。できないこともいっぱいあるから、マネージャーさんやスタッフのみんながいてくれることでなんとかなっています。得意なことをやりつつ、自分でできないことはチームで補っていく。大切なのは、そこではないかなと思っています。
「AGRIKO FARM」は、屋上で収穫された野菜や魚をビル内のレストランで提供する「ビル産ビル消」を提案する都市における循環型の屋上ファーム。環境にやさしい農業として注目される水耕栽培と養殖のシステムを合わせ持つ「アクアポニックス」農法を採用し、野菜やハーブ、エディブルフラワーをはじめ、イズミダイやホンモロコなどの魚を太陽の下で育成。
「AGRIKO FARM 桜新町」に次いで、2拠点目となる「AGRIKO FARM 白金」を9月に開園。屋上で育てた野菜や魚は、桜新町はビル1階の「OGAWA COFFEE LABORATORY 桜新町」で、白金は2階にあるレストラン「gicca」にてメニューの一部として提供される。
撮影/加藤夏子
取材・文/ヒオカ
構成/金澤英恵
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