最高の終わり方
福本敦子さん(以下、福本) あのとき「あっちゃんどっぷり浸かってみるの」って言ってくれましたよね。すごく感情的になっているタイミングだったから細かいことを覚えているわけではないんですけど、その言葉がすごく残ってて。「お母さんが家に帰ってきたときが勝負だよ」って言われたことも、実際にそうなったときに蘇ってきて。よし! 今が大切なときなんだ、本気出すぞ! みたいな。心の準備ができました。
森田敦子さん(以下、森田) そうだったんだね。亡くなったって昨日聞いて心配してたけど、今日顔を見たら、なんかこう、ちゃんとひとつの区切りをつけられたんだなっていう感じがしたもん。それが終わってなくて、「森田先生と約束してるし、キャンセルするのは申し訳ないし……」って感じだったらこんな顔で来られないもんね。
福本 毎日お祈りしてたんですよ。絶対にお母さんに会えますようにって。それしかできなかったので。お母さんが苦しい思いをしてるのにケアしてあげられない、なにもできなくて。それが悲しかったんですけど、今はもう苦しんでないから。寂しいけどスッキリはしてるんですよ。
森田 それは奇跡なのよ。お家に帰ることができて、2日一緒に過ごすことができるっていうのは最高の終わり方よ。2ヵ月いてごらん? 逆にお父さんが参っちゃうよ?
福本 そうそう、そう思う。その2日間はすっごくいい時間で、スキンケアもしてあげられたし、産毛もきれいにして、「お母さん、今日誰々が来るからキレイにするからね」みたいな。
森田 うれしいよね。
福本 で、お父さんがバタバタとお母さんの手を拭いたりして。だけど焦ってワサワサやるから「ちょっと! 優しくやって」って私に怒られたりして(笑)。
森田 へー、そんな時間だったんだね。
福本 そう、本当にあのときの森田先生の言葉のおかげです。
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