推し活費は光熱費&医療費!?
現場(※ライブの意):ツアー中10回~15回。8割は地方遠征。
推し活のための有休取得:年間10日
1日で推し活に割く時間:3時間@平日、5時間@休日
「前提として夫はとてもいいひとで、結婚前から私の『追っかけ体質』を知っていて、にこにこと見守ってくれるような人でした。それに私が甘えてしまったのがいけないと思っています」
麻紀さんは冷静で客観的なところをお持ちで、「推し活に夢中になって家庭生活が疎かになり、愛想をつかされかけている」というパターンとは異なるようでした。
実際結婚して20年近く、麻紀さんは毎朝夫と自分にお弁当を作り、きれい好きが功を奏して掃除も苦にならず、写真で拝見するご自宅も綺麗に整えられています。休日も「推し活漬け」ということはなく、ご家族で旅行やアウトドア活動も楽しんでいます。
そこで実態を把握するために、彼女の推し活の内容を具体的に尋ねていきます。
「私が推している人は歌番組やバラエティに出ることも多く、その出番は1分も漏らさず録画します。最新の細かい情報収集源はファンクラブとX(旧Twitter)です。古参のファンの方が何人もいて、みんなで漏らさぬように呟いてくれるし、自分も逐一報告します。
それで録画できたら、出番のところを編集ソフトで切り抜きしてベスト動画を作るんですけど、これが結構……深夜の作業で楽しいけど大変。その動画ですか? 誰に見せることなく、自分のアーカイブとして保存しています。
推しがCDや本を出したら、なんとかして売上を立てたいと、30枚や40枚は買います。こんなの序の口でもっとお金持ちのファンは『タワレコ回って在庫枯らしてきたー!』って100枚単位で買っていらっしゃる。私みたいな普通の主婦の場合、お金もさることながら置き場所が問題で。こういうのはファンじゃない人に配ると迷惑だと自覚しているので……まさか捨てることはできないですしね」
……たしかに、具体的に伺うと、家族が同じCDを数十枚購入していたら少々、気になるように思います。
「子どもが小さい頃は、遠征(地方のライブにいくこと)は控えていました。手が離れてきたので、日帰りで名古屋や静岡あたりから参戦して。小学校に上がると、1泊しないと帰って来られない九州なんかも行くようになりました」
夫の誠也さんは、当初はさほど咎めることもなく、『そんなに楽しいなら行っておいで』というスタンスだったそう。もちろん麻紀さんは誠也さんに猛烈に感謝し、家事と育児を人一倍頑張ったそうです。
「削るのは自分の睡眠時間。遠征の前はとくに気合が漲って、猛烈に仕事と家のことを頑張れました。
推し活は私にとって光合成みたいなもの。パワーがチャージできるし、健康になった気がするので、『推し活費は光熱費であり、医療費』なんて言って、次第に費用がかさんできてもそれでいいと思っていました。もちろん、そのお金は私が働いて得たお金から使っていました。いわばお小遣いの範囲。生活費に充てる夫婦共同のお財布には私も半分出していましたから、罪悪感はあまりありませんでした。
でも、家庭の様子も、いつまでも同じじゃない。目に見えない変化が、少しずつ、我が家にも起きていました」
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