墓守の定義と実態
墓守とは、言葉の通り「先祖代々の墓を引き継ぎ、維持管理していく人」のこと。多くの場合、親族が担います。かつては長男が家も墓も継ぐのが一般的でしたが、愛さんのお父様のように、現在は長男に限らずその家の子どもが継承するようになってきています。
実は墓守は、親族でなければならないという決まりはありません。もちろん、結婚して姓が変わった女性=愛さんのような方でも継承できます。実際、わたし渋澤も結婚して姓は変わりましたが、実家の墓守をしています。体も元気で働けるうちは、自分の稼いだお金をご先祖様のために使うことに何ら抵抗はなく、むしろ生きているうちにできなかった親孝行だとも思っています。
墓守の主な役割
墓守の役割には、主に「①年間管理費用の支払い」「②墓参りや清掃」「③法事の施主」などがあります。
墓を守り続けるのが難しかったら?
相談者の愛さん一家のように、遠方に住んでいるため頻繁に墓参りや掃除に行くことができないという方もいるでしょう。そんな方は、お墓参りやお墓掃除の代行サービスを利用するというのも一案です。地域によっては対応外の場合もありますが、およそ2万円前後で掃除を代行してくれます。
このような代行もままならず、いつの日か、何らかの事情でどうしても墓守がいなくなることもあると思います。一般的には、家族や親族の中で任せられる人がいないか検討しますが、それも難しいようであれば、墓じまいか永代供養も視野に入れてみてください。詳しくは、以前墓じまいについて書いたこちらの記事を参考にしてみてください。
2つの家を1つの墓に合祀する「両家墓」
わたし渋澤も実家の墓守をしていると前述しましたが、ある墓参りの日、そんな事情を知らない寺の奥様から「今後はどうするの? 旦那さん一族のお墓と一緒にして、両家墓にしてもらえると安心よね。実は私の妹もそうなのよ」と話しかけられました。
両家墓(りょうけばか・りょうけぼ)とは、2つの家のお墓を1つに合祀した、昔からある墓の形式です。墓を継ぐ子どもがいない、1人娘が嫁いでしまったなど、将来的に墓を維持できない時に利用されるそうです。1区画に2つの墓石を建てたり、1つの墓石に両家の家名を並べて刻むなど、両家墓にはいくつかの形式があります。
お墓や墓守については、家庭によってさまざまな事情があると思います。私自身は実の親と同じお墓に入れれば嬉しいですが、こればかりは独断で決められません。今回紹介したようにいろいろな方法があることを理解した上で、検討してみてはいかがでしょうか。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
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