このところ、日本のマンション価格が高騰しています。マンション価格の上昇は今に始まったことでなく、過去10年以上にわたってマンション価格は基本的に上がりっぱなしでした。ところが近年、インフレが激しくなってきたことから、価格上昇にさらに弾みが付いている状況です。
不動産経済研究所が発表した8月の首都圏新築マンションの平均販売価格は7195万円となり、6カ月連続で上昇しました。このところマンションの販売価格はびっくりするようなペースで上がっているのですが、その背景となっているのが止まらないインフレです。
マンションは不動産ですから、インフレ動向に合わせて価格が上昇していくのは当然のことです。しかしながら、経済全体の物価とマンション価格の上昇ペースが同じになるとは限りません。物価が上がると、各種コストが増大するため、マンションを販売するデベロッパーにとっては利益を上げにくくなります。そうなると、デベロッパー各社は、価格が高い高級物件にシフトするようになり、販売単価が物価上昇分以上に高くなってしまうのです。
ちなみに昨年8月時点の平均販売価格は6102万円でしたから、1年間で17.9%も価格が上昇したことになります。8月時点における日本全体の物価上昇率(消費者物価指数の上昇率)は3.2%ですから、マンション価格の上昇がいかに激しいのかがお分かりいただけることでしょう。
インフレというのは庶民にとっては恐ろしい現象であり、食費や不動産など生活や人生にかかせないモノほど全体の物価上昇分以上に値上がりしていきます。アベノミクス(大規模緩和策)というのは意図的に物価を上げる政策でしたが、物価を上げる政策というのは、よほど慎重に実施しなければ大きな弊害をもたらします。ひとたび物価が上がり始めると、元に戻すのは極めて困難ですから、もはや後戻りはできないと考えた方がよいでしょう。
そうなると日銀が本格的に金融を引き締めない限り、物価は上がり続ける可能性が高いという予想が成り立ちます。
マンションの平均価格が7000万円というのはすでに尋常ではない水準であり、平均的な収入の世帯では、もはや首都圏において持ち家を購入することは不可能となりつつあります。
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