忙しいときほど要注意!選択を誤らないためにするべきことは?
忙しいときというのは、仕事が雑になったり、いつも当たり前にやっているチェックをし忘れたり、普段では考えられないようなミスをしがちです。落ち着いているときには、当たり前に聞き流せる言葉にも、いちいちカチンときて、まわりに八つ当たりをしてしまうこともあります。冷静な判断など、とてもできない状態ですから、こんなときに人生の重要な選択などしないほうがいいことは明らかです。
私は、「寝坊したときは、歯磨きだけでも、あえてゆっくり時間をかけて行ってください」といっています。歯磨きなんて、どんなにじっくり磨いたとしても、3分もかかりません。でも、その3分で呼吸が整って、自律神経が安定してきます。
私自身も、「なんだか調子が悪いな」というときは、机の上をいつも以上にていねいに片づけるなど、あえて1つひとつの動作をゆっくり行うように意識しています。
緊張したときに、深呼吸するのもそうですね。私は、「1:2呼吸法」(1で息を吸って、その2倍の長さで吐く)を提案していますが、ゆっくりと深く呼吸することで、副交感神経の働きがアップし、収縮してしまっていた血管がゆるみ、血流がよくなって、心が落ち着いてきます。
よりよい選択をするには、まず、体の調子を整えること。「迷い」があると自律神経が乱れるといいましたが、交感神経と副交感神経がバランスよく働いて、自律神経が整っていれば、「迷い」は少なくなります。
「迷い」と自律神経というのは、表裏一体なのです。
著者プロフィール
小林弘幸(こばやし ひろゆき)さん
順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年埼玉生まれ。順天堂大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任。自律神経研究の第一人者として、数多くのプロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニングやパフォーマンス向上指導に携わっている。
『「シンプル」な選択が自律神経を整える理由』
著者:小林弘幸 青春出版社 1100円(税込)
モノや情報があふれる現代社会は、迷いやストレスを生む選択肢だらけで、自律神経が乱れがち。そんななか、自律神経研究の第一人者が、体も心もベストコンディションにしてくれる「シンプル」な生き方を伝授します。著者自身が実践している「シンプル」な生活パターンも多数紹介。そのどれもが、お金をかけず即座に実践できるのが魅力です。
構成/さくま健太
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