10月20日、美智子さまはお誕生日を迎えられました。皇后のおつとめを雅子さまにバトンタッチされた美智子さま。美智子さまのお気持ちをしっかり受け止められた雅子さま。おふたりのあたたかな交流を振り返ります。
美智子さまから雅子さまに伝えられた
"身を守る"という美しいルビーの指輪
1993年1月19日の午後7時、赤坂御所の食堂ではお祝いの夕食会が行われていました。楕円形のテーブルを囲んでいるのは、天皇陛下(今の上皇さま)と美智子さま、皇太子殿下(今の天皇陛下)と雅子さま、秋篠宮家ご夫妻、紀宮さま(今の黒田清子さん)と、雅子さまのご両親である小和田夫妻と双子の妹の礼子さんと節子さんです。
その日の午後、皇太子殿下と雅子さまのご婚約の会見が開かれました。レモンイエローの鮮やかなスーツに身を包んだ雅子さまが会見場に姿を現すと、その美しさに200人を超す報道陣は目を見張りました。
国民に明るい希望をもたらした会見がとどこおりなく終わり、その夜、それぞれの家族がお祝いの食事をともにしたのです。ご婚約決定のよき日とはいっても、それまで天皇家と一般の家族が一つのテーブルを囲んで食事をするなど、前例のないことでした。
夕食会はまず天皇陛下がお祝いのお言葉を述べられて、なごやかに始まりました。食事は予定を二時間もこえ、10時を回ってから小和田家は赤坂御所より帰りました。そのとき、御所を辞する雅子さまの左手のくすり指には、美智子さまからいただいた美しいルビーの指輪が光っていたのです。
雅子さまの指に輝いていた指輪は、プラチナ台に大粒のルビーがのり、細かなダイヤモンドがルビーを取り囲んでいます。このルビーの指輪は、かつて昭和天皇の皇后良子(ながこ)さまから、美智子さまが結納のお祝いとしていただいたゆかりのお品でした。
ルビーは身を守るお守りとして尊ばれてきたといいます。美智子さまから、
「良子さまの心のこもったお品を雅子さんにお伝えしたい」
と、夕食会の席で直接雅子さまに手渡されたのです。
59歳のお誕生日には、美智子さまへ心からの感謝のお言葉を
やがて年月が経ち、雅子さまは皇后になられました。
2022年12月9日のお誕生日のお言葉には、
「今回、50代最後の誕生日を迎えるに当たり振り返ってみますと、私が、当時の皇太子殿下との結婚により皇室に入りましたのが平成5年6月9日、ちょうど29歳半の時でした。本日の誕生日で、その時からちょうど29年半になります。いつの間にか人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに、感慨を覚えております。……上皇上皇后両陛下のお導きをいただきながら、どのようなときにも、天皇陛下を始め、多くの方々に私の歩みの一歩一歩を支え、見守っていただいてきたことを思い、心から感謝したいと思います。……」
と綴られていました。
これからも、雅子さまは美智子さまがたのあたたかなまなざしに見守られながら歩まれてゆくことでしょう。
●参考文献/『入江相政日記』(入江為年監修、朝日新聞社)、『美智子皇后「みのりの秋(とき)」』(渡辺みどり著、講談社+α文庫)、宮内庁ホームページ
キャプションは過去の資料をあたり、敬称・名称・地名・施設名・大会名・催し物名など、その当時のものを使用しています。
構成・文/高木香織
編集/立原由華里
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