介護服の購入場所
私、渋澤が認知症の母を在宅介護していた時は、食べこぼしや失禁で汚してしまうので、高価なものよりも安価なものを使い捨て感覚で購入していました。平日は、介護事業者が毎朝7時過ぎには迎えに来るので、悠長に洋服を選んでいる余裕はありません。とはいえ、上下柄物などにしてしまうと目がチカチカ……。
これはあくまでも私のやっていたことですが、上着は柄物または無地、ズボンは無地と決めていました。色は気分に合わせて親も選べるように、明るい色から暗い色まで偏らず、良いと思ったものを購入。これならば何をコーディネートしてもおかしな組み合わせにはならずに済みます。
ちなみに、私は近くにしまむらがあったので、そこでほとんどの衣類を購入していました。他にもいくつかオススメのショップがあるのでご紹介しておきます。
■しまむら2023年から介護用品を徐々に取り扱い開始。リーズナブルで種類も豊富なのが特徴。オンラインストアでも下着やパジャマなどをラインナップ。
■ユニクロシンプルなデザインが多く、伸縮性の高い衣類が豊富。前開きインナーやイージーパンツが高齢者に活用できそう。
■ケアファッション高齢者の着やすい洋服をラインナップ。
■七福サトー紳士・婦人ともに品揃えが豊富。
特筆すべきはこちらの商品です(ケアファッションと七福サトーは介護に特化しているので省かせていただきました)。
【しまむらはボトムが優秀!】
レディース 日本製パンツ
ウエストゴムは着脱しやすく、
【ユニクロは前あきインナーが最高!】
前あきインナー
かぶりのインナーは、脱ぎ着しづらい高齢者などを念頭に開発された商品ということもあり、前あき部分は面テープ仕様などの工夫も。高齢になると肌が敏感になるため、ブラジャーはワイヤーなしの柔らかい素材を選ぶとよいでしょう。
洋服の着替えによってオンオフを切り替え
要介護状態になると、千佳さんの義母のように、外出予定がない日は1日中パジャマ姿のままだったり、寝る時も普段着で1日中同じ洋服という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
介護をしていると、親も子も「汚れていなければそのままで」という感覚になりやすいもの。それは楽かもしれませんが、毎日パジャマや同じ服でいると、昼夜の区別がなくなり同じ時間が続いているような感覚になると言われています。脳への刺激もなく、身体能力の低下の可能性が高くなります。
千佳さんも、コロナ禍以降はリモートワークが続き、会議のない日はスッピンに部屋着でパソコンに向かうことも多々あるそう。他人の目がなくなり、以前より自分に自信が持てなくなったと感じていたと話します。この手の話は、高齢者に限ったことではありません。ファッションでメリハリをつけることで生活のリズムが生まれ、気力も高まります。
介護しやすい着やすい服
高齢になると、ボタンやホックを留めたり袖を通したり、かぶるなど、ちょっとしたことが苦手になります。自分で着替えができない場合、介護者が着替えのたびに腕や腰を持ち上げて、脱いだり着せたりを繰り返さなければなりません。また、無理な体勢で着替えをすると、痛みや不快を感じて嫌がられる場合もあり、今度は介護者が手や腰を痛めてしまうこともあります。
では、介護しやすい・着やすい服というのはあるのでしょうか。
一般的に、かぶるタイプは腕や首を動かす必要があり、介助する方もされる方も負担が大きいため、前開きのシャツが推奨されています。また、伸縮性があり、ゆったりとした服は動きやすいとも言われています。ただし、ご自身で更衣できる場合はかぶりものが良いケースもあります。
伸縮性は、着替えやすさに関わるポイントです。綿100%素材は肌触りは良いものの、伸びない素材は着替えの際に動きが制約されてしまい、要介護の方には負担になります。また、洗濯の乾きが悪いのもネックです。ただし下着に関しては、敏感肌の人には綿製が良く、自分で着脱したい人はポリエステル製がオススメです。
「伸縮性」「ゆったり感」「安全性」を重視すると着脱しやすいので、介護服を選ぶ時のキーワードとして押さえておいてください。
最後に、着替えは1つの生活動作です。すべてを介助するのではなく、できることはやっていただくことも大切なポイントです。たとえば、朝起きたばかりの時などは、腕や膝を無理に曲げ伸ばしすると痛みを伴うことがあるかもしれません。余裕があれば、簡単なストレッチをしてから着替えをするなど、工夫してみてはいかがでしょうか。
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
イラスト/Sumi
編集/佐野倫子
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