──順番にうかがいますね。まずは「なぜペットショップで買うのか?」という疑問について、たまさんなりの答えはでましたか?

「飼いたいな」と思って見に来たその日に、簡単に手に入るからです。

「生体代にプラス月5000円程度で飼えますよ、なんならケージだっていらないし」なんて言われて、簡単に飼えるような気にさせられるんですよね。

実際にそういう飼い主さんって多いんですよ。ケージともいえない適当なケージで飼っていたり、爪が伸び放題で肉球に刺さってしまっていたり。アレルギーもあるし、病気や怪我もする、手術が必要なこともある――。そういう認識がないまま飼い始めた挙げ句、持て余して保護施設に頼ることになる。その根本がここにあるんだなと。

大昔から言われている「命を預かる責任」について認識の甘さは、今も全く変わらない問題です。

──「どういう子がいるのか?」という疑問に対してはどうでしたか?

私が働いていたブリーダーでは、狭い犬舎の中に100頭くらいが押し込まれていました。みんな人間に対して従順で何も問題がない、すごく可愛い子たちなのに、病気になっても治療してもらえないし、檻の中で育って檻の中で死んでいく母犬(繁殖犬)も多かったんですよね。

そこで少しでも環境を良くできないかと思って、許可をもらいながら、個人で里親探しをし始めたんです。しかし、そうすると実はブリーダーが儲かってしまうんです。

“産めなくなった母犬”が里親に引き取られると、空いたケージに“産める母犬”が入るので……。それで、自分がしていることは「ちょっと違うな」と。

今、眼の前にいる子を助けて問題解決ではなく、将来的に保護犬・保護猫と殺処分の数を減らし、大事に飼ってもらうようにするためにはどうすればいいのか。それでSNSを始めました。単に「こういうことがあった」というのを書いているだけはあるんですが、知ってもらうことが大事だなと。

【どうして「飼えなく」なってしまうのか?】犬猫の殺処分数14,457頭、大半は猫(11,718頭)しかも子猫が6割以上。この現実を変えていくために..._img4
 

生後まもなく、目の前で母猫を交通事故で失い、さらに先天性の疾患で心臓に小さな穴が見つかったジジ(左)。いまはたまさんのお姉さんの家で、仲良しの兄弟キキ(右)と一緒に暮らしています。