子どもの何気ない一言が、親にとって重荷になることも


高齢化が進むなか、自宅で介護を受ける人と介護者の双方が65歳以上の高齢者という老老介護は、年々増加傾向にあります。年齢とともに体力も低下し、身体の不調が出てきます。そんななか、夫婦とはいえ、夫が妻を、妻が夫を介護することは、時として難しい場面も出てきます。

ですが時折、遠くに住む子どもが、老老介護の負担をあまり考えずに、年老いた両親に対して「お互いを病院や施設に入れず、家で支えてほしい」と言ってしまうケースが見られます。子どもにしてみたら、「本人が家で過ごしたいと言っているし、お父さん、お母さんもそのほうが良いでしょう? 私たちも実家にいてもらったほうが会いに行きやすいし」という感じなのですが、介護している側の親にしてみれば、それが負担になってしまうことがあります。

老親の介護について「誰かがやってくれるだろう」は通用しない!?子どもが最低限するべきこととは?_img0
 

「本人が望んだことだから」を手伝わないことの言い訳にしない


「家が良いよ」「いつでも会いに来られるから」と言いながら、実際にはほとんど会いに来なかったり、何も手伝わないという子どもたちをしばしばお見かけします。

自分のなかに「こう過ごしてもらえたらいいな」というイメージがあって、それを実現してほしいと求めるのなら、自分もある程度、実現のために動く努力が必要だと感じます。そして「家で過ごしたい」というのが患者さん本人の希望だったとしても、「本人が望んだことだから」を手伝わないことの言い訳にしないこと。

 

「自宅で過ごしてほしい」と言うのなら、それによってかかってくる介護の負担について、一緒に考えるべきではないでしょうか。そうでないと、自分の希望だけを言う“押し付け”になってしまいます。

そのため、「こうしたほうが良い」と意見を言うなら、ぜひセットでそうするための労力も負担することを心がけましょう。労力を負担できないのに、口だけ出すのは、トラブルの元。いっそ最初から口を出さないようにするほうが、結果的に物事がスムーズに進むことが多いように感じます。