BTSのSUGAが「僕の10代の頃のスターだった」と明かすミュージシャンがいます。その人の名は、キム・ジョンワン。叙情的なサウンドのバラードから激しいロックまで幅広い楽曲をひっさげ、韓国のフェスで長年にわたりヘッドライナーを務めているバンド、NELLのボーカルです。
編曲・ボーカルとしてフィーチャリングした「Dear My Friend」を、SUGAが入隊前の最後のソロコンサートで号泣しながら歌ったことでも知られるキム・ジョンワン に、独占インタビュー。フィーチャリング秘話や音楽の原点について聞きました。
SUGAが入隊直前ソロライブで号泣歌唱した「Dear My Friend」をフィーチャリング
――「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’ THE FINAL」の公演で、SUGAさんが「Dear My Friend」を、涙を流しながら歌ったと聞いて、どんな気持ちになりましたか。
わたしが観覧した回では涙を流してはいなかったのですが、後日SUGAさんから最終日にものすごく泣いてしまったと聞き、理解できる気がしました。長い間苦しんだ感情を整理し「そろそろ見送るよ」という心情だったのではないでしょうか。
キム・ジョンワン(写真中央)
モダンロックバンドNELLのボーカル、ギター担当。1980年12月24日生まれ。学生時代の友人イ・ジェギョン、チョン・ジェウォン、イ・ジョンフンとともにバンドNELLを結成し、2001年にアルバム「Reflection of」でデビュー。代表曲に「Stay」「Four Times Around the Sun」など。NELLのすべての楽曲の作詞・作曲、編曲を手がけているほか、INFINITEのソンギュ、少女時代のテヨン、Wanna Oneをはじめ多数のアーティストへ楽曲を提供、ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」などのOSTにも参加している。2023年11月13日に8枚目のアルバム『Dystopian's Eutopia』をリリースした。
――「Dear My Friend」はSUGAさんが、多くの出来事によって遠ざかり、互いに会うことはなくなった練習生時代の友だちについての複雑な思いを歌った曲です。フィーチャリングのオファーを受けて初めて聞いた時の印象を教えてください。
まず、SUGAの個人的な内容の歌詞に心を打たれました。友だちと自分に対する怨恨、悲しみ、やるせなさなど、様々な感情が込められた曲なので、どのように解釈し編曲するべきかとても悩みました。そのため最初は今の完成したバージョンとはまったく違う「混乱した感情」に焦点を当てた編曲でしたが、作業を進めるにしたがってもっとストレートで大きなスケールの曲に変化していきました。
――「Dear My Friend」を聴くと、もう会えない何人かの友だちを思い出します。キム・ジョンワンさんも、ご自身の心に浮かべた友だちはいますか。
くわしくはお話しできませんが……わたしにももちろんそういった友人がいます。そのためボーカルをレコーディングした時は、より感情移入ができたように思います。
SUGAがホストをつとめるトークショー「シュチタ」にゲスト出演したキム・ジョンワンさん(2023年10月17日)
――RMさんとも「everythingoes」でフィーチャリングしています。RMさんがNELLさんを思いながら作った曲と言われていますが、どんなところに惹かれてコラボを決めたのでしょうか。
寂しいながらもかすかに希望のある歌詞が、NELLの音楽と少し重なっていたからかな、と思います。静かに始まり、漸層的に高潮していく構成もまたNELLが好む構成でもあるため、そういった面も似ていたからです。
――キム・ジョンワンさんが「シュチタ」(BTSのSUGAがホストをつとめるトークショー。YouTubeとWeverseで配信されている)で、「ファンのなかには、NELLの音楽で元気が出たという人がたくさんいる」と話していたのが印象的でした。ご自身も音楽に救われたことがありますか。それはどんな曲でしたか。
あまりにも多くの音楽がわたしの人生で大きな支えになってくれましたが、1曲を挙げるならスマッシング・パンプキンズの「By Starlight」です。高校1年生の美術の時間に、屋上で一人イヤフォンをつけてこの音楽を聴いていたのですが、その瞬間全てが大丈夫なのだと感じられました。その記憶が今でも強烈に残っています。つらいことがある度に、イヤフォンで好きな音楽を聴くようになりました。
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