年齢差があるからこそ築ける“シスターフッド”

そんな朱里と夜々のメンターになってくれるのが、彼女たちよりもちょっぴり大人な田中さん(木南晴夏)と、ゆくえ(多部未華子)です。『エイフォー』が放送されているときにも感じたのですが、年齢差のある友情っていいですよね。お互いに嫉妬の対象にならないからこそ、本気でアドバイスをし合えるというか。

 


夜々も、同世代の友人には、モテてしまうがゆえの悩みを打ち明けることができなかったけれど、ゆくえにはわりと早い段階で相談していました。朱里も、田中さんにだからこそ「男の人がわたしをチヤホヤするのは、わたしが若くて適度にバカそうで、ちょっと頑張ればすぐに手に入りそうなちょうどいい存在だから……」なんて自己開示することができたんだと思います。

また、生きづらさを抱える20代の朱里と夜々に、的確なアドバイスをする田中さんとゆくえも本当に素敵なんですよね。とくに、『いちばんすきな花』第4話の「お人形にならないでね。夜々ちゃんでいてね」というゆくえのアドバイスには、涙が出そうになりました。“女の子らしくいなさい”という母の呪縛にとらわれている夜々を、ちょっぴり強引に連れ出してあげたのも、年上ならではだなぁ、と。

そして、年上女性が“与える側”だけでなく、時には“与えられる側”になるのもいい。大人なんだから、嫉妬なんてするものじゃないと心のどこかで思っていた田中さんが、朱里の前で「若い女の子なら仕方ないって思えるけれど、わたしより20歳も上なのになんで? って」と好きな人の“特別な女性”の悪口を言ってみたり。そんなことを思ってしまった自己嫌悪を抱える田中さんに、「わたしにとっては、田中さんが最高です!」と言い切ってあげる朱里も素敵でした。


女性同士は、『エイフォー』のラストのように、結婚や出産を経て距離ができてしまう可能性もあります。でも、恋人とちがって別れがないぶん、ずっと仲良しでいることもできる。田中さんと朱里、ゆくえと夜々は、どんな形であれ、永遠に特別な存在であり続けるんだろうなと思います。
 

 

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