「言葉の暴力は毎日浴びてるけど、身体的な暴力を受けるよりはマシ。10円節約できただろって1時間ネチネチ責められるけど、会話がない夫婦よりはちょっとマシ。VRつけながら抱かれてるけど、セックスレスよりかは多分マシ」

そんなふうに言い聞かせていた専業主婦の郁子(西田尚美)と、令和世代のほのか(香音)が、世代間ギャップを逆手に現代の女性が抱える違和感に切り込んでいくドラマ『くすぶり女とすん止め女』(テレビ東京)が、ついに最終回を迎えました。

『くすぶり女とすん止め女』「シンデレラは結構厚かましいと思う」MEGUMI演じるちーママの台詞がどれも名言すぎた_img0
『くすぶり女とすん止め女』(テレビ東京/毎週火曜・深夜24時30分〜)公式サイトより。

やっぱり、MEGUMIさんプロデュースのドラマにハズレなし! 最後の最後まで、「面白すぎかよぉおおお!」と心のなかで叫んでおりました。TVerで配信された第1話の再生回数が100万回を突破(※テレ東の深夜帯オリジナルドラマとしては初の快挙です)するなど、大きな話題を集めたこの作品を、じっくりと振り返っていきたいと思います。

 

郁子×ほのかのちょっぴり歪なシスターフッド
 

年齢差があるシスターフッドを描いた物語って、年上女性がメンターとして年下女性を導いていく……みたいな構図になりがち。でも、『くすぶり女とすん止め女』の場合は、ほのかの方が仕事ができたし、郁子よりもしっかりしていましたよね。

ただ、やっぱり郁子が一枚上手だなぁと思ったのは、ほのかの面倒くさい性格をいちはやく見抜いていたこと。ほのかは、典型的な今どき女子。プライドが高すぎるせいで、他人に弱みをさらけ出すことができないんです。だから、ついまわりに苛立ちをぶつけてしまったり、つっけんどんな物言いをしてしまう。郁子にも、かなりひどいことを言っていました……。


でも、郁子はほのかの奥にある優しさに気づいていたから、聞き流してあげることができたんだと思います。“わたしの方が年上なんだから”と偉ぶるわけでもなく、分からないことがあったときは「教えてください」と素直に頭を下げられる。“年上の部下”って接し方に悩むものだけれど、郁子のように謙虚な女性だったら、うまく渡り合っていけるのかもなぁと思いました。

回を重ねるにつれて、郁子とほのかの絆が強固になっていくのもよかったです。

ほのか「結婚しても、幸せになれるとは限らないんですね」
郁子「幸せよ、子どもがいるもん」
ほのか「子どもがいたら、幸せなんですか?」
郁子「苦労も多いけど、子どもからもらえる幸せって、子どもからしかもらえないから」
ほのか「じゃあ、子どもがいないと不幸ってこと?」

こんなふうに直球で質問を投げかけられるのも、ある程度の年齢差があり、生きている環境がちがうからだと思います。センシティブな話題って、同世代の友人とだったら探り探りになってしまうもの。郁子にだから聞けることがあって、郁子もほのかと接するからこそ得られるものがある。これぞ、究極のシスターフッドだなぁと思いました。