「市子がどんなものに幸福を感じるのか知りたかった」。映画単独初主演作『市子』でヒロインの市子を演じた杉咲花さんは、出演を決めた理由をそう語ります。28歳の市子は、出生時から抗えない過酷な運命を背負いながら生きてきた女性です。映画はそんな市子が強いられてきた壮絶な人生を、通奏低音として「女性の生きづらさ」を響かせながら描いてゆきます。人間として、俳優として、特別な思いで挑んだ作品は、画面にこれまでとはまったく異なる杉咲花を焼き付け、観客の心に痛切に突き刺さります。国際的に初のお披露目となった釜山国際映画祭でお話を伺いました。

杉咲花「本心と行動が伴わないって、誰にでも起こりうること」法の落とし穴で過酷な運命を生きる女性を思う【釜山国際映画祭インタビュー】_img0
 

杉咲花
1997年生まれ、東京都出身。『湯を沸かすほどの熱い愛』(16/中野量太監督)で第 40 回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞 をはじめ、多くの映画賞を受賞。「とと姉ちゃん」(16/NHK)でヒロインの妹を演じ、「花のち晴れ〜花男 Next Season〜」 (18/TBS)では連続ドラマ初主演を果たす。その後、NHK 連続テレビ小説「おちょやん」(20-21)と「恋です!〜ヤンキー君と白杖 ガール〜」(21/NTV)で第 30 回橋田賞新人賞を受賞。近年の主な出演作に『十二人の死にたい子どもたち』(19/堤幸彦監 督)、『青くて痛くて脆い』(20/狩山俊輔監督)、『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(21/三池崇史監督)『99.9-刑事専門弁護士 -THE MOVIE』(21/木村ひさし監督)、『大名倒産』(23/前田哲監督)、『杉咲花の撮休』(23/WOWOW) 、『法廷遊戯』(公開中)などがある。今後も「52ヘルツのクジラたち」(2024年3月公開)などが待機中。