40代から使ってほしい、「今、必要な化粧品」の選び方
とはいえ、新しい美容成分もやっぱり気になる。でも、一番知りたいのは「私の肌に合っているか否か」。特に肌悩みが多くなる40代からのおすすめのコスメ選びのポイントってあるのでしょうか。
――良い化粧品を選ぶ基準があれば教えてください!
「この質問は本当によく聞かれます(笑)。確かにこれだけ化粧品があるとどれを選んでいいのかわからないですよね。そのひとつの解決策として僕が皆さんに提案しているのは、『ナゼ、良いのか?』を突き詰めること。成分・処方・使い方・ラインナップなど『この化粧品は今、私の肌に必要なものなのか』どうかをしっかり見極めてほしいんです。
医薬品と化粧品の処方の違いについても聞かれることが多いので少し触れておきましょう」(竹岡さん)
医薬品と化粧品の違いをおさらい!
● 医薬品は……
主にトラブル対処型で、代表的には軟膏やワセリンなどが挙げられます。患部に直接塗ってフタをして傷や炎症を抑える働きがあります。有効成分を患部に適切に届けるのが医薬品の特長。
● 化粧品は……
肌全体を整えることを目的としています。美容成分は基本、副作用がでないことを前提にしているため、トラブルが起きては困る。多様な使い方があるのが特長で自分の美容習慣・生活習慣に合わせて選ぶことができます。
目からウロコの化粧品選び
肌状態でわかる竹岡式「コスメの選び方」
その他にも40代がコスメを選ぶときのコツを教えます!
① 香りやテクスチャーは好きなものを選んでOK。使い心地の良いモノを
② お手入れは簡単であればあるほど嬉しい。「お手軽コスメも」用意しておくと気が楽
③ コスメはメンテナンス。長く使うための秘策はお財布と相談して
実は③の項目が一番大事なんです。化粧品は肌のメンテナンス。毎日コツコツと長く続けるためには自分に見合った化粧品を選ぶことも大事。高い化粧品をケチケチ使っていても結果は出ませんよね。
「独自の調査によると30代以降の肌トラブルの中で多いのが『炎症』なんです。例えば、みなさん、洗顔をしたあと小鼻のまわりの赤みが気になることはありませんか。これは肌が炎症をおこしているからなんです。
40代以降は、ライフスタイルの変化で肌の基底膜が壊れ、慢性炎症になっている人がとても多いんです。炎症が悪化すると元に戻すのは本当に大変。まずは肌の炎症を抑えて、健康な肌状態に戻すためのお手入れを始めましょう。その中で2つおすすめの成分を紹介します」(竹岡さん)
① 抗炎症成分「ツボクサエキス」
「グリチルリチン酸、ツボクサ(CICA)エキスがおすすめです。実はCICAには4つの成分があり、その中で抗酸化・抗炎症作用が断トツに高いのが「マデカッソシド」。肌が酸化するとニキビなどの肌荒れはもちろん、シワ・しみなどのエイジングサインも加速させてしまいます。いつも使っている化粧品がある日突然使えなくなってしまうなんてことも。ラ ロッシュ ポゼの保湿クリーム『シカプラスト リペアクリーム B5+』は敏感肌からも肌を守ってくれるおすすめアイテム」(竹岡さん)
② 肌に不要なものを取り除く「ケルセチン」
「肌に負担のかかる成分を減らすのもひとつ。エイジングを加速させる要因の活性酸素を除去する抗酸化・抗炎症作用、さらにはシミ消しや肌のバリアを整える機能もあると言われています。資生堂が発見したイチョウ葉エキスに同様の効果があり、美白ケア・保湿ケア製品などに配合されています」(竹岡さん)
「理想の肌を叶える近道は、今の肌状態・肌悩みに応じてアイテムを選ぶこと。今の技術でいうと僕は化粧水に可能性があると考えています。例えば、バリア機能が壊れている・乱れている人は保湿化粧水を、乾燥や赤み・炎症のある人はカーミング(抗炎症)機能がある化粧水を。
また、肌が疲れていたり、エイジングサインが気になる方は有効成分が入った化粧液、というように肌のコンディションに合わせて使い分けるのがおすすめです」(竹岡さん)
――最近、とろみのあるテクスチャーの化粧水が増えていますが、機能に違いはありますか?
「とろみのあるテクスチャーの化粧水が出始めた理由は『肌への摩擦を緩和するため』と言われています。裏側の話をすれば、とろみのある保湿剤には水に溶ける有効成分を多く抱え込む特性があるため、機能性ローションのテクスチャーにとろみが付いたのも頷けます。
ただし『とろみがある=機能が高い』というわけではありません。嗜好のためだけのとろみ付けの化粧水もあるので、惑わされないように!」(竹岡さん)
――乳液やクリームの選び方にコツはありますか?
「エイジング悩みはそれに応える有効成分を配合した乳液やクリームをおすすめします。乳化した美容成分は肌なじみが良いため、シワ・たるみなどのエイジングにしっかりアプローチできるんです。お手入れのコツはしっかり肌に押し込むこと」(竹岡さん)
――美容成分を高濃度に配合していると、やはり効果は高いのでしょうか?
「化粧品に『高濃度=効く』と安易に答えを出すのは危険です。現にレチノールは肌に入れすぎると効果が下がり、副作用として炎症を起こします。EGFなどの活性が高い成分も過剰に摂取すると肌が硬くなったりと予想外の作用が出てしまうことも。肌に良いと言われる美容成分も時に毒となることもあるので気をつけたいですね」(竹岡さん)
――竹岡さんが手掛けた中で、印象に残っているコスメはありますか?
「現代女性の生活習慣が大きく変わり、化粧品メーカーも肌悩み・生活習慣に応じた商品作りをするようになりました。その中で、『これは本当によくできているなぁ』と感心したのは、肌の若々しさを司る幹細胞に着目したジェルクリームです。
このクリームには、スイスの農園で育てられているわずか20本しかないりんごの木の実から抽出し培養した植物幹細胞エキスを配合しています。このりんごの生命力がものすごくて『4ヵ月経っても腐らないりんご』として、世界中で注目されているんです。
またこの製品は『セカンドスキン』と呼ばれる薄い被膜を作り、紫外線や花粉などの外的環境から肌を守り、肌の潤いが逃げないようにフタをしてくれる絶妙な役回りを担っています。保湿・ハリ・弾力・ツヤ・キメ・整肌・なめらかさといったまさに40代の『なりたい肌』に全方位でアプローチする、オールインワンジェル史上コスパNo.1の商品ですね」(竹岡さん)
今話題のニューヒーロー「ナイアシンアミド」「レチノール」をどう選ぶ? どう使う?
「日本でもここ数年の間で『ナイアシンアミド』『レチノール』の成分の名前を多く聞くようになりました。先程もお話しましたが、コロナ禍でビタミンCを始めとするビタミン群がフォーカスされるようになったのです。ナイアシンアミド(ビタミンB)やレチノール(ビタミンA)もビタミン類ですからね」(竹岡さん)
ナイアシンアミドの効果とは美白・肌あれ・シワ・抗酸化に効果が期待できる有効成分。さらっと言いましたが、ひとつの美容成分で美白とシワ(特に目まわり)、そして保湿ケアも叶えられるというのは大変珍しいんです。他の美容成分と混ぜても壊れず・ケンカもしないので作り手側としては大変使いやすい成分です。
ONE BY KOSÉの『リンクルホワイトN』は長きにわたるナイアシンアミド研究から生まれた成分。
レチノールの効果とはシワをケアする有効成分の代表格。「純粋レチノール」のほか、最近ではさまざまな誘導体の登場など、レチノールの研究が目覚ましい進化を遂げています。レチノールは肌のみずみずしさを司るヒアルロン酸の産生を増やす効果があります。
「この2つの成分は昔からあった美容成分で、その当時の製品にも配合されていました。研究を重ね、今の時代に合った化粧品としてまた新たに息を吹き返した、まさに『温故知新』。レチノールは誘導体という形に変化して安定性も機能性も上がり、一気に“時の美容成分”になりました。
みんなが知っている肌に良い成分を深堀りして、新しい技術をかけ合わせて光を当てる。昔はできなかったことも今はできるようになったと聞けば、使わない手はない。製品は確実にバージョンアップしていますからね」(竹岡さん)
美容成分や化粧品選びは難しいと先入観があったけど、化粧品研究や技術などの裏側を知るだけで選び方も変わってきそうですね。まさに賢く学ぶ美容術。
次回は、「今、必要な美容成分」の特徴をさらに深掘りしていきます。
撮影/後藤渉
ヘアメイク/遠田真由美
取材・文/長谷川真弓
構成/國見香
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