日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、部下とのコミュニケーションにまつわるモヤモヤエピソードです。

「なんでも正直に言ってね」と、良かれと思って言ったのに…


エピソードをお寄せくださったのは、コンサルティング会社で管理職をしているエミコさん(40歳・会社員)。


外資系企業で管理職をしています。チームは10名ほどで、20~30代が中心。ハードワークが当たり前な会社ですが、みんなやる気と向上心があるので前向きに頑張ってくれています。私も色々な案件・クライアントを担当してきた経験があるので、部下たちに頼りにされている実感がありました。

先日会社の管理職研修があり、「部下の思いを引き出すことが大事」と言われました。職場の心理的安全性を確保するためには、「自分の思いを聞いてもらえる」と感じられる雰囲気を作ることが必要だそうです。振り返ってみると、忙しすぎて部下一人一人とじっくり話す機会はつくれていませんでした。私としては、今でも十分良いチームだと思っていますが、せっかくだからちょっと実践してみようと思ったんです。

チームミーティングのときに、「今度一人一人と面談をするので、普段言えないこともなんでも正直に聞かせてください」と伝えました。そして一人ずつ呼んで面談したのですが、驚くほど出てくる出てくる……、不平不満の嵐です。

「なぜ自分にばかり仕事を押し付けるのか」「チームのAさんは適当な性格だから嫌い」「Bさんが私の手柄を横取りしたからムカつく」「正直他のチームに移りたい」「エミコさんは話が長い」「エミコさんは機嫌の良し悪しが顔に出過ぎている」……などなど。

「みんな、こんなに不満を溜め込んでいたの?」とビックリしたと同時に、自分への個人攻撃のように思えてしまう内容もあって傷ついてしまいました。自分で言い出したことですし、管理職なのだから受け止めなければと思うのですが、正直ショックで呆然としています。

 


「知ること」は大切な第一歩

チームのためを思って、「なんでも正直に言ってね!」と投げかけたら、本当に容赦なく色々な意見が寄せられたんですね。「このチームはうまくいっている」と感じていたならなおさら、ショックは大きいと思います。エミコさん、お疲れ様です……!

ご自身で書いているように、自分で言い出したことだし管理職という立場でもあるので、泣き言を言ってもいられないと感じてしまいますよね。それはそうとしても、エミコさんの精神状態が心配です。管理職といえど人間です。ショックを受けたこと自体を否定せず、自分を責めすぎないでください。

客観的に見ると、今回のことは良い機会だったのではないかと思います。これまでなかなか業務以外の話をする時間がなかったとのことでしたので、部下の方々はモヤモヤした思いをエミコさんに伝えることができず悶々としていたのかもしれません。エミコさんがそれに気づくことができず、後々もっと大事になっていた可能性もありますから。メンバーの思いを「知ること」は、チームをより良い形で運営していくための大切な第一歩だったと思います。

一方で、「なんでも正直に」と言われて吐き出されたすべての不満を、エミコさんが真正面から受け止める必要も実はありません。一つ一つ内容を精査して、仕分けしていくことが重要です。

 
  • 1
  • 2