もちろん『バービー』という作品そのものになんの罪もないことは承知です。ただ、一連のツイートから様々な意見を目にしたことで、同じ出来事に対して違う歴史や解釈を教育されてきた国民同士が、お互いの立場や心情を真に慮ることの難しさを痛感しました。そしてこういうときに抗議しない日本政府の「ことなかれ主義」、国際社会においての日本のポジショニングと他国からの扱われ方も。

そういう諸々を改めて考えさせられる事件だったので、純粋な気持ちでポップな世界観の『バービー』を楽しめるムードではなくなってしまったのですよね。

その後、マーゴット・ロビーと『オッペンハイマー』主演のキリアン・マーフィーが米・VARIETY誌の番組「Actors on Actors」で対談していますが、さすがにここでは「バーべンハイマー」という言葉は使われなかったよう。


ですが、みつけてしまったのです。なんと『バーべンハイマー』という、低予算コメディが制作中だというニュースを。


米「Hollywood Reporter」誌によると、これは科学者の人形が、核爆弾で人類を追い出そうとする物語で、ポスターには核爆発の写真の上にバービーを象徴する、ピンクのフォントを使用した「Dカップ、A爆弾」というキャッチフレーズが。B級映画界のアイコン、チャールズ・バンド監督による映画らしいですが、ちょっと俄かには信じられないニュースで、力が抜けてしまいました。

 

原爆をジョークにされたことに傷つき、日本人の尊厳を賭けて公開反対の署名運動まで起きた、あの騒動は一体何だったのか。

映画『オッペンハイマー』は来年日本公開が決まったそうですが、この映画が果たしてどんな風に原爆開発を描いているのか。この目で観てみたいなと思っています。