今年の5月から約半年もの間続いていた米ハリウッドのストライキが、11月23日にようやく終結を迎えました。5月に全米脚本家組合(WGA)のストライキがスタートし、7月には全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)が加わったことで、ハリウッド全体が実質上休業状態に。リチャード・ギアら大物俳優たちがデモやピケライン(デモの妨害を阻止するための横隊のこと)に加わる姿も見られました。
これはワーナー・ブラザースやディズニー、Netflix、アマゾン、アップル、NBCユニバーサル、パラマウント、ソニーら大手スタジオに対して起こしたもので、9月にWGAが、そして11月9日にはSAG-AFTRAが、それぞれが暫定合意に達したとの報道が。
脚本家と俳優たちが同時にストを起こしたのは1960年代以来のこと。このハリウッド史上最長のストの影響で、南カルフォルニアが受けた経済的損失は推定65億ドルとも言われます。『スパイダーマン』シリーズの新作をはじめとする大作映画の撮影がすべてストップしていたために、スタイリストやヘアメイク、ケータリングサービスなどなど、ハリウッド産業に関わるおよそ200万人が打撃を受けたのです。
今回の交渉の焦点は、Netflixなどストリーミングサービスの配信による二次使用料の分配と、AI技術の影響に対する俳優やクリエイターたちの保護策。ほかにもSAG-AFTRAは、より良い医療保険や、セルフテープオーディションに対するスタジオからの譲歩などを求めていました。
最終的に、俳優組合は異例ともいえる7%の最低賃金引き上げに成功。これは初年度の数字で、2024年にはさらに4%増加し、2025年にはさらに3.5%増加する見込み。またAIの使用に関する肖像権保護に関しては、組合メンバーたちは“デジタルレプリカ”の作成と使用に対して「情報に基づいた同意と公正な補償」を受け取ることに。
さらに、一定レベルのヒットに達した番組の俳優に対し、実績に準じた追加報酬の支給が決定。年金と健康保険の支給額も大幅に引き上げられたとのこと。
ほかにも、多様な髪質や肌色に対応するためのヘアメイクに関する新しい条項、ヌードとセックスシーンにはインティメシーコーディネーターを起用するなどの条件が盛り込まれました。
ストの長期化による雇用損失も大きかったですが、今、それだけハリウッドは大事な節目に来ているのですよね。多少の犠牲を負ってでも、映画関係者たちの立場向上やAIに仕事を奪われないための権利を確立する必要があったのですもの。ライターの私としては、今回のストの結果が今後出版業界にどんな風に波及していくのかにも、興味があります。
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