2023年のハリウッドニュースを、セレブウォッチャー・さかいもゆるが振り返ります!

映画『バービー』(2023)より。写真:Everett Collection/アフロ

今年、私が最も楽しみにしていた映画が、グレタ・ガーウィグ監督の『バービー』。アメリカの女の子に愛されるバービードールが現実の世界に迷い込むというストーリーを通じて、ボディ・ポジティブや真のダイバーシティとは何かを問いかける、名作のはずでした。ガーウィグ監督がこだわり抜いて作り上げたピンク尽くしの世界観の中で、マーゴット・ロビーがバービーを、ライアン・ゴズリングがケンを演じ、サントラにはビリー・アイリッシュをはじめとする人気アーティストたちが勢揃い。

こんなの、面白くならないはずがない! 

映画『バービー』のワールドプレミアにて、主演のマーゴット・ロビー(左)とグレタ・ガーウィグ監督。写真:AP/アフロ

しかしご存知の通り、「バーべンハイマー」騒動で、状況は一変。

 

説明しておくと、“原爆の父”と呼ばれる物理学者のロバート・オッペンハイマーをクリストファー・ノーラン監督が描いた『オッペンハイマー』が『バービー』と同じ公開日だったことで、この夏のハリウッド2大大作のタイトルをくっつけて「バーペンハイマー」と呼ぶように。

映画『オッペンハイマー』(2023)より。写真:Photoshot/アフロ

SNSでは「#バーべンハイマー」のハッシュタグをつけたネットミームとなったのですが、その中に原爆を思わせる描写とバービーを組み合わせたコラージュがあり、そのツイートに『バービー』の配給会社であるワーナー・ブラザースの公式アカウントが「忘れられない夏になりそう」とリプライしたことで、日本では大炎上となりました。

長崎と広島で推定21万人の被害者を出したという原爆をジョークにされるのは、日本人には耐え難いこと。たくさんの日本人がこのリプライやツイートに対して抗議しました。そんな中、ワーナー・ブラザースの日本法人は本国のリプライに対して「遺憾に思う」という声明を出しましたが、本国のワーナー・ブラザースは特にコメントもなく、映画のプロモーションで来日したグレタ・ガーウィグ監督もイベントではこの件に関してスルー。

この一件で、映画を観に行きたいという気持ちは完全に冷めてしまい、私は結局『バービー』を観ずじまいに。