2023年も残りわずかとなりました。2024年は日本社会の大きな転換点となる可能性が高く、私たちにとって大事な1年となりそうです。場合によっては、これまでの価値観をリセットする必要が出てくるかもしれません。
今年は物価高に明け暮れた1年だったと言えるでしょう。コロナ危機がほぼ収束したことで、旅行に出かける人が増えるなど、気持ちが前向きになる出来事もありましたが、一方で物価高が家計を圧迫し、多くの人が生活が苦しくなったと感じているに違いありません。
来年の物価上昇率は今年より鈍化する可能性が高く、際限なく値段が上がっていくという状況は避けられそうです。しかしながら、抑制されるのは上昇率ですから、物価そのものはまだ上がると考えてよいでしょう。賃金が上がってくれないと家計はラクになりませんから、私たちの生活は最終的に賃金に左右されることになります。
政府が賃上げを強く経済界に求めていたこともあり、23年の春闘はそれなりの上げ幅となりましたが、中小企業にはその恩恵が十分に及んでいません。中小企業の経営はどこも大変だと思いますが、経営者の皆さんにはぜひ頑張っていただき、春には広範囲な賃上げを実現してほしいものです。
今年は「物価」に振り回された1年でしたが、来年は物価に加えて「金利」が大きな注目を集めそうです。過去30年間、日本は低金利が続いてきましたが、日銀がとうとう政策転換に踏み切る姿勢を見せ始めており、ゼロ近辺に張り付いていた金利が上昇に転じる可能性が高くなってきました。
金利というのは分かりにくい概念ですが、金利が上がると経済や社会には極めて大きな影響が及びますから、私たちにとって大事な指標です。特に企業にとっては、お金を借りるコストが増えることを意味しますから、金利が上がり始めた場合、何もしないと企業の利益が減ってしまいます。そうなってくると企業は従来とは違った形で収益を確保する必要に迫られます。
これまではお金はタダ同然で借りることができましたから、コストがかからない分、商品の価格を下げることができました。結果として、低価格な商品が良く売れるという流れでビジネスが成立していました。しかし金利が上がっていく時代においては、こうした感覚は通用しなくなってきます。
企業はお金を借りるコストを負担するため、利益を増やす工夫をしなければなりません。商品のラインアップや価格体系を変え、利益率の高い商品を増やしていくことになります。そうなると「商品は安ければ良い」という流れではなくなり、高品質のものを高く売るという戦略を採用する企業が増えてくることでしょう。
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