休職に失踪…秘書が次々と姿を消す「不可解な職場」
——舟木さんは以前、心理カウンセラーと議員秘書を両立されていたそうですが、全く異なる二つの仕事をするようになったきっかけは何だったのでしょうか。
舟木彩乃さん(以下、舟木):元々心理カウンセラーをしていたのですが、ある時、国会議員の事務所で働いている知り合いから「うちで秘書を募集してるんだけど、やってみない?」と声を掛けてもらったのがそもそものきっかけです。
——議員秘書という仕事のどんなところに興味を持ったのですか?
舟木:国会議員の事務所は「公設秘書」と呼ばれる秘書を3人置くことができます。まず政策担当秘書 、その次に公設第一秘書、公設第二秘書がいます。その事務所では、政策担当秘書が鬱病で休職して、第一秘書がなんと失踪、さらに第二秘書も来なくなってしまったそう。「そして誰もいなくなった」みたいな状況でした。「そんなことってある!?」と思いますよね。一体どんな職場なのか、心理カウンセラーとしては逆に興味が湧いてきたんです。
「道端で土下座」も…想像以上のストレスフルな環境
——議員秘書を実際にやられてみてどうでしたか?
舟木:私は結局その事務所ではなく、ご縁があって違う国会議員の事務所で秘書として働くことになっ たのですが、そこでは他の議員秘書が「土下座」させられるシーンを何度も目にしました。しかも議員だけじゃなく、後援会の会長も議員秘書に土下座を命じたりするんです。事務所内の密室ならまだしも、通行人がいる歩道や公共の場でさせられることもありましたね。
——そういうのってドラマの中だけの光景だと思っていました……。何か失敗をすると「土下座しろ」と言われるんですか?
舟木: そうとも限りません。例えば、秘書が議員に何か報告する時、議員が椅子に座っている場合は、秘書が立ったままだと「秘書が議員を見下ろす」ような形になりますよね。議員の機嫌によってはそれが許せなかったりして、「貴様、上から物を言ったな! 土下座しろ!」となるわけです。
——そんな些細なことで……。
舟木:正直、何が逆鱗に触れるのかわかりませんでした。議員は感情の起伏が激しい方が多くて、激昂した翌日に全員クビとか、秘書を事務所から締め出すとか、そういうケースも見聞きしました。加えて、秘書同士に連絡先の交換をさせない議員も。秘書たちが徒党を組まない、連携しないようにするわけです。民間ならあり得ないですよね。ここでは何でもありなんだなというのが、率直な感想です。
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