プリキュアとは「自分の足で凛々しく立つこと」
プリキュアはずっと「女の子のエンパワメント」として機能してきました。
この20年間、プリキュアではたくさんのことが描かれ続けてきました。
自分で考えること、友達を大切にすること、決してあきらめないこと。
価値観には違いがあること、ありがとうを伝えること、自分の正義を押し付けないこと。
自分を大切にすること、間違ってもやり直せること、みんなでごはんを食べること。
大好きな人と手をつなぐこと。
プリキュアの生みの親、東映アニメーションの鷲尾天氏は、プリキュアとは「自分の足で凛々しく立つこと」であると語ります。
男の子も、女の子も、子どもも、大人も関係ないのです。
「凛々しくあること」こそが「プリキュア」なのです。
自分の選んだコスチュームで、自分の選んだ道を歩む娘へ
プリキュアのコスチュームは、大切な人を守るための戦闘服であると同時に、自分を実現するための衣装でもあります。例えば『ハートキャッチプリキュア!』(2010)の「キュアサンシャイン」、明堂院いつきは、普段は真面目な性格ながら、いざ変身すると「カワイイ」を前面に押し出し自分の“好き”を開放します。自己実現のための変身をするのです。
わが娘も、この先たくさんのコスチュームに身を包むことになると思います。
就職活動のスーツ、仕事場での制服、パーティーのドレス。それぞれのコスチュームには、それぞれの役割や意味があります。娘は、自分の選んだコスチュームで自分の選んだ道を歩んでいくのです。
でもね。きっとくじけそうになる日も来る。この先、社会に出て人生のピンチを迎えることもあるでしょう。そんな時のため僕はこっそり、この『プリキュアコスチュームクロニクル』をリビングに置いておこうと思うのです。
この本に描かれているのは、娘の思い出のプリキュアたち。いまでもプリキュアは、娘の心のどこかに潜んでいて、いつの日か娘を助けてくれるんじゃないかと思うのです。
この本をふと手にとった時、凛々しく前を向くプリキュアたちの姿を思い出してくれたら、いいな。プリキュアと家族と過ごした日々を思い出してくれたら、うれしいな。
プリキュアは、今を全力で生きる人の奇蹟を肯定する物語です。78通りのコスチュームに身を包んだ78人のプリキュアに、78回の奇蹟が起きているのです。わが娘にだって79個目の奇蹟が起こるのです。絶対に。
二十歳おめでとう。わが娘よ。凛々しくあれ。
文・写真/kasumi
構成/金澤英恵
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