「どんな苦しみがあっても、生きてほしい」。作品が伝える直球メッセージ
自ら死を選んだはずのイジェでしたが、12人の生と死を経験しながら、その考えにも変化が生まれていきます。
絶望のあまり、自身の苦しみから解き放たれることしか頭のなかったイジェが、大切な存在を失う立場となった時、それがどれほど辛く悲しいことなのかを理解しはじめるのです。
『もうすぐ死にます』は、「生きることの意味」を問いかけ、どんな苦しみがあっても人生を諦めてはならず、生きるべきだというストレートなメッセージを投げかけています。
「命は人間に与えられたチャンスだ。苦しみは人生の全てではなく、一部でしかない」という台詞が登場するのですが、私にはそれが強く心に残りました。
本作は、「死」を演じたパク・ソダムのドラマ復帰作としても話題になった作品です。現在32歳のパク・ソダムは、2021年に甲状腺乳頭がんが発覚し、手術や治療のために一時休業をしていました。8ヶ月もの間、声が出なかったといいます。復帰のために、一体どれほどの努力をしたのでしょうか。
パク・ソダムは、『もうすぐ死にます』の台本を読んでたくさん泣いた、と語っています。彼女が演じる「死」は、自ら死という道を選んでしまったイジェを身勝手極まりないと責める役。
闘病期間中に自らの生死と向き合い、壮絶な道のりを経てカムバックした彼女だからこそ、誰よりもこの役がふさわしく、説得力のある完璧な演技を見せてくれました。
大物俳優たちのリレーによって生み出された傑作ドラマ『もうすぐ死にます』。
脚本の構成もお見事で、イジェが転生する12人の人間はまるで関連性がないように見えて、少しずつその繋がりが明らかになっていきます。伏線回収の巧みさも見どころ。
この先何があったとしても、自分の人生を最期まで生きたいと強く思わせてくれたドラマ『もうすぐ死にます』。ぜひご覧ください。
構成/山本理沙
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