「お母さん、できることなら働き続けた方がいい。障がい児も受け入れている保育園を探してみて」

復職のため、上の子の保育園をどう探したらいいか相談に行った区役所の窓口の女性に、開口一番、背中を押されました。障がい児育児の大変さをよく知っている方だったのだろうと、今となっては思います。

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「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」という団体をご存じでしょうか? この会では、障がい児や医療的ケア児を育てながら、働き続けたい親たちが、ゆるやかにつながり、支え合っています。

障がい児や、医療的ケア児を育てながら働こうとする親の前には、両立を続けるためのハードルが幾重にも立ちはだかっています。子どもや家族の暮らしを守るため、この団体は行政や勤め先への働きかけを続けています。ケアの必要な子を育てている親も働き続けることができるよう、育児・介護支援制度を子の年齢で区切らず、障がいや疾患の状態に応じて配慮してもらえるよう、社会を変えようとしているのです。

この会の会長であり、朝日新聞社に勤めながら、重度の知的障がいを伴う重い自閉症の16歳の娘さんを育てていらっしゃる工藤さほさんへのインタビュー、第6回です。

第5回はこちら>>>​【障がい児を育てながら働く⑤】3歳で療育施設へ。次第に安定していく娘。そして先生方の厳しくも愛のある“親”への指導にも支えられ...

 

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——娘さんは半年間の待機ののち、3歳になった春から療育施設に通い始めたのですよね。娘さんの情緒の安定を考慮して、最初の3ヵ月は午前中のみの通所、その後は14時まで過ごすようになった、と前回お伺いしました。

はい。3歳でもまだ母子分離ができていなかったため、まずは知的障がい児のための療育施設に毎日通い始めたんです。そこで出会った先生たちのおかげで、半年もすると、娘は次第に落ち着き、教室で私のお迎えを待つことができるようになりました。

3歳のころ。娘は笑い声が大好きで、だれかが笑っていると一緒に笑っていました。

14時に退園後は毎日、好きな乗り物や海を見るために、羽田空港や台場に連れて行きました。