雑草は抜かずに上の部分を刈り、土の上に敷いていきます。それが土の戻る過程で肥料のような役割を果たします。ですから、肥料や堆肥も使わないか、最小限の使用になります。

肥料を使わない方法では、作物は自分の力で健全に育つため、害虫とされる作物を食べる虫が寄ってこなくなり、農薬も使う必要が少なくなります。

また、できた作物から毎年種をとり、その種を使い翌年の作物を育て、命をつないでいくことができます。遺伝子組み換えや、F1(一代交配)の不自然な種などが問題になることもありません。

このように自然農は、土、微生物、環境によく、すべてが循環しており、心配となるお金も最小限で、労力も少なく、とれる作物は安全で栄養価が高いものになる……と、まさにコンセプトは「自然に沿った理想的な農法」になります。

自然農の作物は、本来、自分の力で健全に育つが……

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しかし、実際に自然農を始めてみると、さまざまな問題が発生しました。たとえば、
「つくる作物によっては、ほとんど育たないもの、まったく育たないものがある」
「作物ができても、虫だらけでほとんど収穫できない」
「とれすぎるものがある一方で、ほとんどとれないものがある」
「昨年はできたのに、今年はできない……など、年による収穫のばらつきが多い」
「雑草が多くなりすぎて、途中から管理不能になる」

原因は、もちろん私のやっている方法が未熟であり、管理の仕方にもたくさんの問題があったためです。加えて、自然農においても土の状態がもっとも大切であることは変わりなく、とくにその土地が慣行農法から移行した場合、コンスタントに収穫できる土の状態になるまでには、数年以上の長い年月が必要になることは、自然農の世界ではよくいわれていることです。

 

また、現在は核家族であり、さまざまな活動を並行して行なっている環境から、もう少し生活スタイルに合った柔軟な方法も試してみようと考えました。