現在は、有機農や「菌ちゃん農法」も取り入れて

毎日が「盆と正月」のような食卓をあらためる。ある医師が実践する、自然に沿った暮らし方_img0
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そこで、自然農という形だけにこだわるよりは、有機農などを含めてさまざまな方法を積極的に取り入れてみることにしました。私は、元々はウイルスの研究者であり、いくつかの異なる方法で行なった結果を比較して検討する、実験的なことがとても好きなのです。もちろん、どの方法を選択する場合でも、「自然のしくみに沿っている」「自然を破壊しない」という部分から、はずれていないということが大切であることは、いうまでもありません。

最近試してみたいくつかの方法では、「菌ちゃん先生」として有名な吉田俊道先生が提唱している「菌ちゃん農法」でとてもいい結果が出ています。

 

吉田先生とは、講演会でも何度かご一緒させていただいており、土の微生物(菌ちゃん)を元気にして作物を育てるエキスパートです。菌ちゃん農法でできる野菜は、収穫量も多く、栄養価も高く、とてもおいしいものになります。発酵食品をつくるときの菌と、土の菌が同じ働きをしていることなど、私たちはそれぞれの立場で同様のことを伝えています。

こうして、菌ちゃん農法などの新しい方法を取り入れることにより、収穫量は増え、かつおいしい野菜がとれるようになりました。現在私が行なっている農作業は、高価な機械や難しい技術は必要なく、おいしくて栄養価の高い野菜が安定してとれる、だれもが実践できる方法になっていると思います。

農も自然のしくみに沿っているかということが、大切な本質の部分であり、その方法には特定の決まったやり方があるわけではなく、どのやり方でもこのコンセプトに沿っていればよいということです。自然農という、もともとの軸である自然そのままの農法に加え、自然のしくみに沿っていれば、ほかの新しい軸を柔軟に取り入れ、統合していくことが大切であることが、改めて実感できました。私は農を通じて、自然に沿うことや、「自他の統合」の本当の意味がよりはっきりと見えてきたのです。