第66回グラミー賞でのテイラー・スウィフト。写真:REX/アフロ

テイラー・スウィフトが現地時間2月4日に開催されたグラミー賞授賞式で、最も栄誉ある部門のひとつ、最優秀アルバム賞を受賞しました。4度目の受賞は史上初となる快挙! そう聞いても、何がそんなにすごいのかいまいちピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。そんな方にこそ知って欲しい、テイラーのすごさについて、今日はお伝えしたいと思います。

 


2月7日から東京ドームで「ザ・エラス・ツアー」の来日公演をスタートする彼女は受賞スピーチで、自身の人生で最高の瞬間のひとつとして、「東京でのライブのためにダンサーやバンドと準備しているとき」と言及。来日公演を楽しみにしている日本のファンたちにとっては、最高のファンサとなりました。

さて、そんなテイラーが今回のアルバムで賞を獲得したのが彼女にとって「光」の部分だとしたら、そこには世の中のどんな物事とも同じように「影」も存在しています。むしろその影を経験したからこそ、彼女はこのアルバムを作れたと言えます。

テイラーの今回の「ザ・エラス・ツアー」は昨年全米66カ所で開催され、開催場所に押しかけるファンたちにより、経済誌から「テイラー効果」と称されるほどのインパクトをもたらしました。だけど日本ではテイラーのファン“スウィフティーズ“でない限り、テイラーがなぜそんなに影響力を持つスターなのかというのは、曲の良さ以外ではなかなか見えづらいかもしれません。

実はテイラーはこのアルバムを作る前、「自分のキャリアは終わったと思った」と語るくらいの危機を迎えています。

それは2016年に、カニエ・ウエストに陥れられたときのこと。カニエが自身の曲『Famous』でテイラーに関する下品な内容の歌詞を書いたのですが、テイラーはこれを「聞いていなかった」と発言。しかしその後、カニエの当時の妻だったキム・カーダシアンが、テイラーがこの曲について許可しているかのような音声データをリーク。この一件でテイラーは世間から「スネイク(=信用ならない裏切り者)」呼ばわりされ、「人と会うのも電話がかかってくるのも怖くて、海外に引っ越して誰にも会わず1年間閉じこもっていた」と、米『Time』誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた際のロングインタビューで語っています。

カニエはどうやらテイラーのことが心底気に食わないようで、2009年のMTV・ビデオミュージック・アワード授賞式でも、最優秀女性ビデオ賞を受賞したテイラーのスピーチの最中にマイクを奪って「この賞はビヨンセが獲るべきだった」と暴言を吐いています。この事件以来、カニエはテイラーにとって因縁の相手なのです。