「比較三原則って言葉を考えたんですけどね(笑)。自分の過去と、他人と、親族とは比較してはいけないってことです。どんな人でも比較を始めると辛くなったり悩んだりするもんですよ。大切なのは比較しないように努力をすることです」(みうらじゅんさん)

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自分の理想を追い続ける若きバンドマンの苦悩を描き、大ヒットした映画『アイデン&ティティ』。その公開20周年を記念して開かれたイベントに集ったのは、映画を監督した田口トモロヲさん、原作のみうらじゅんさん、そして主演を務めた峯田和伸さん。

他人に左右されることなく、自由奔放にのびのびと生きているように見える3人。彼らの「軽やかさの秘密」は? そして3人に学ぶ「いまの時代を生き抜くためのヒント」とは? お話を伺いました。

――それにしても、空気感からお三方の仲の良さがすごく伝わってきます。『アイデン&ティティ』は公開から20年とのことですが、みなさん出会った当初と現在で、お互いの印象は変わりましたか?

峯田和伸(以下、峯田):あの時の印象とまったく変わらないです! 二人は僕にとっては東京のお父さんとお母さんなんです。

田口トモロヲさん(以下、田口):みうらさんが、悪いことを教える都会のお母さん(笑)。

みうらじゅん(以下、みうら):おせっかいだからね、オレ(笑)。峯田君とは年齢がだいぶ違うけれど、感覚的には同い年だと思っています。同じ種族だからね(笑)。同じ種族に年齢は関係ないからさ。

「何事も比較しないよう努めるべきですよ」(みうらじゅんさん)

田口:みうらさんと僕はその前からつきあいがあったけど、仕事以外のことばかりしていたら、たまたま仕事につながっていったというか、仕事になっちゃったんですよね。

みうら:最終的には、映画までつながったもんね。そしてその映画で峯田くんに出会って、それからずっと友達でいる。本当、幸せだよね。

 

――みなさんとても自由に、軽やかに生きているように見受けられます。それって実はなかなか難しいことだと思うんです。最近はSNS上での有名人などに対する誹謗中傷も問題になっていますし、一般の方でもSNSに疲れてしまう方がいます。どのように対処されているのでしょうか?

峯田:SNSは意識していないですね。見ないようにしています。僕がだいたいスマホを使う時は、趣味のためだけだし(笑)。だから悪い評価もあまり聞こえてこないですね。あまり外野の声を聞かないようにしています。

「気になるものをなるべく見ないようにするっていうのは一見、不自然だけれど大事」(峯田和伸さん)