辺見えみり/タレントとしてテレビ、雑誌など幅広く活躍。自身がコンセプターを務めるセレクトショップ「Plage(プラージュ)」も6店舗となり、大人気。

前回の記事では辺見えみりさん自身の「ベーシックアイテムの更新」についてご紹介しました。
今回のお話は、えみりさんの「ファッション遍歴」についてです。長い間「スカート派」だったえみりさんが、あるとき「パンツ派」になった理由を聞くと、大草編集長も興味深くなんども頷いていました。そこには、ミモレ読者の皆さんにも参考にして頂けそうなおしゃれのヒントがたくさん。パンツやシャツの着こなしも非常に参考になりました。


スカート派からパンツ派に
変わった理由

大草:以前えみりちゃんといえば、ウエストをマークしたふんわりスカートのイメージが強かったですよね。それをすごくバランスよくきれいに着こなしていて、えみりちゃんといえばスカートという印象でした。
辺見:そうでしたねー。
大草:今はこの本を見ても分かるように、パンツスタイルがすごく多いようですが、何か心境の変化があったんですか?
辺見:うーん、何なんだろう(笑)。パンツが多くなってきたのは、3年くらい前ですかね。「フェミニンな自分」に違和感を感じるようになってきて。いまだにワンピースも好きだし、ふわっとしたスカートもはくんですが、合わせるものは変わってきました。子どもが生まれたから、というのはあまり関係なくて、パンツのほうがしっくりくるようになってきたんですよね。

大人を美しく見せてくれるタック入りの麻混ワイドパンツ。靴によってジャストウエストでも落としてもはける。えみりさんによると脚長効果もあるそう。※今季の商品はこちら。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)

▶︎PANTS
大草:それは体型とかお顔とのバランスの変化とか?
辺見:いや、体型の変化もあったと思うんですけど、スカートをはくと野暮ったく見えるなと思うようになったんですよね。ショートヘアにスカートっていうのが、私がするとなんかおばさんっぽく見えるなと。そろそろ「かっこいい」「ハンサムな」自分を目指していい年齢になってきたのかな、っていうのもあって、一回パンツスタイルにシフトしてみようかなと思ったんです。それまでは「まだモテたいな」っていう気持ちもあったりしたけど(笑)、かっこいい恰好をしていても可愛い人は可愛いんだと思えるようになったんだと思います。
大草:ミモレの読者の方にも、今まで似合っていたはずのスタイルが全然似合わなくなって何を着たらいいか分からないとおっしゃる方がたくさんいるんです
辺見:それは全体のバランスかもしれないです。ずっと同じ髪型、同じ服っていうのは不可能で、どこかバランスが崩れていると「服が似合わない!」になる気がします。
大草:たとえばスカート派の方はパンツにかえてみるとか、デニムをかえてみるとか、もしかして髪型をかえてみるとか。そのくらいの変化でもかなり気づきがありそうですよね。
辺見:前髪を少し長く伸ばしてみるとか、髪の色をかえてみるとか。ちょっとの変化が全体のイメージをかえてくれる可能性はあると思います。いきなり「ハンサムなイメージで」っていうのも難しいとしたら、顔まわりはフェミニンなイメージのままで、ボトムだけかえてみるとか、どこかしらかえるだけで違ってくる気がします。
大草:なにかひとつでいいのかもね。全とっかえだとまた迷うよね。トップスはかえずにボトムだけかえてみるっていうのは一つの答えかもしれないですね。

シャツを着こなすために
必ずしていること

大草編集長が取材後に実際に購入したシャツ(笑)。厚手なので、アウターとしても着れるデザイン。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)

▶︎SHIRTS
大草:
(えみりさんが取材時に着用していたシャツを指して/写真と同じもの)今日着ているシャツも素敵ですねー!これ、私も欲しい。帰りにお店で買って帰ろう(笑)
辺見:地厚なので、一枚でも、開けても着れるシャツなんです。
大草:襟がきれいに立ちますね。えみりちゃんの首筋、鎖骨あたりのいい意味での筋っぽさが本当に大人っぽくてセクシーで好きなんですが、こういうところがパンツスタイルのほうが合うようになってきた原因かもしれないですね
辺見:確かにここが筋張ってきたかもしれないです。そうすると、たとえばスカートのスタイルの時は…。
大草:タートルとか、首のつまったクルーネックのトップスのほうが合うのかもしれないですね。
辺見:なるほどー!
大草:シャツの着こなしで何かこだわりはありますか?
辺見:買ってきたときに、襟をぐしゃっぐしゃっと癖づけして馴染ませるようにしてます。買ってきた直後って、襟がピンっとなっていて優等生っぽい感じなんですけど、トレンチコートでもシャツでもまず襟をぎゅっぎゅっと掴んで馴染ませると真面目すぎなくて安心感を感じるんです(笑)。
大草:それ、私もスタイリングするときは必ずしてます。そうして崩してあげると、シャツの襟のエッジが直線的なのを少し波打ったりして馴染むんですよね。
辺見:このひと手間でこなれ感が出るんですよね。

バッグをコーディネートの
アクセントにしなくなった

J&Mダヴィッドソンのフリンジバッグ。バッグづかいが上手い!と大草編集長も絶賛。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)
大人のリュックスタイルは難しいけど、ワントーンでまとめればカジュアル過ぎません。リュックはエルベ・シャプリエ。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)

▶︎ BAG
大草:あとね、バッグの使い方が上手だなと思ったんですよね。年齢を重ねるとバッグがどんどん重くなっていくんですよ(笑)。どうしてもマダムになっちゃう。
辺見:あー分かります、安心感があるんですよね。でも私そこを越えました(笑)あるとき、財布も何もかも小さいものに買い替えて、そうしたら小さなバッグを持てるようになったんです。
大草:ブランドバッグをコーディネートのアクセントにしがちなんですが、えみりちゃんは服に合ったバッグ、色やショルダーの長さ、軽やかさなどが服に合ったバッグを選んでるんですね。そこが新しいなと思いました。このトレンチコートのコーディネートもそうです。ベーシックなんだけど、デニムのダメージやトレンチの長さ、襟開きのデコルテの見せ方が今っぽいところに、このバッグ。決してバッグが主役ではない感じがいい!この写真のアイテム、全部持ってるからやってみようと思いました(笑)。
辺見:全部?(笑)
大草:あ、似たような感じで。でもお靴はお揃いですよ(笑)。あとはこのリュック使い。こうやってショルダーバッグみたいにして持てばよいんだな、物を入れ過ぎず、こんなふうに色のトーンをまとめたればいいんだなとか、すごく参考になります。今日はとてもいいお話をたくさん聞けたんですけど、最後にこの本の中でベストカットがあったら教えてください。
辺見:ベストカット、、、むずかしいな(笑)。
大草:服も髪型も含めてこれだよ!っていうやつ。
辺見:これかな。このシャツワンピースですかね。

シャツワンピースをアウターとして着るのが
今いちばんのお気に入り

シャツワンピースをさらっと羽織るのが、今いちばんのお気に入り。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)
閉じて着るとこんな感じ。同じワンピースです。 ©Satoshi Kuronuma(aosora)

▶︎ ONE-PIECE
辺見:
今こういうシャツワンピースをざっくり着るっていうのがブームなんです。閉じるとワンピースなんですけど、あえてざくっと羽織って着るのが大好きで、もうこればっかり着ていたいぐらいなんですけど(笑)このゆるっとしたバランスが今は好きなんですよね。
大草:これ、ワンピースなんですね。(ワンピースとして着ているものを見て)あらほんとだ!面白い。
辺見:そうなんです。シャツワンピースを開けて着るのは今年だからこその着こなしかなと。
大草:なるほど~!今日は本当にえみりちゃんのファッションアイデアをたくさん聞けて、私自身すごく勉強になったし、楽しかったです。またぜひミモレに出てくださいね。
辺見:ぜひぜひ~!ありがとうございました!
 

EMIRI Coordinate Sample Spring-Summer/182styles
辺見えみり著/ワニブックス刊/¥1500(税別)

30代最後にどうしてもやっておきたかった「オール私服!オール撮り下ろし!」のリアルコーディネートサンプル集。ベーシックなスタイルを基本に、小物で今っぽい味つけがされていて、これなら誰でも真似できそう!と大草編集長も絶賛。3月~8月まで月別に見れるので、コーディネートに悩んだときにいつでも何度でも開きたくなります。9月~2月の秋冬編もこの秋発売予定で、現在まさに撮影中とのこと!こちらも楽しみです。

撮影/目黒智子(2ショット)取材/大草直子 構成・文/川良咲子