緑内障は10年スパンでゆっくり密かに進行する

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視神経は、約120万本もの細い神経線維の束で、神経線維は1個の神経細胞から伸びる電線のようなもの。1個1個の神経細胞に視野の担当エリアが決まっているため、ある神経細胞が壊れると、その担当エリアが見えなくなります。

緑内障では10〜20年という長い時間をかけて徐々に神経細胞が壊れていくため、視野の欠けもゆっくりと進みます。偶然、視野の真ん中が欠けていれば、おかしいなと思うこともありますが、視野のまわりの部分に見えないところがあっても、なかなか気づくことができません。

また、片目に視野の欠けがあっても、もう片方の目がそれを補ってしまうため、見えなくなっていることに気づかないことも多いです。たとえば視野の半分ほどが欠けてしまう緑内障の中期になっても、日常生活の中では異変に気づかないことがあるのです。

 

【参考1】視界の欠けの変化
 
◎初期:周辺に見えないところが生じる/鼻に近いところから始まることが多い/ほとんど気がつかない
◎中期:見えない範囲が広がる/両目が互いに補うため異変に気づかない
◎後期:視野の大半が見えなくなる/この段階で気づくことが多い
 

【参考2】欠けに気づかない理由
片方の目に視野の欠けた部分があっても、もう一方の目で見えていれば欠けた部分の情報が補われるので、見えないことに気づかない。