際立っているのが、悪役である夫と親友のタチの悪さ。夫のミンファンは、典型的な男尊女卑のモラハラ男です。そして夫と不倫をしていた親友スミンは、いわゆるマウント気質の女で、人のものを何でも欲しがり、姑息な手段ですべてを手に入れていくタイプ。
ミンファンもスミンも、まさに「女の敵」という言葉がぴったり。2人の他にもさまざまな悪役が登場しますが、年功序列に甘んじて部下を顎で使い、女性を見下す上司や、古い価値観を押し付け、嫁いびりをする姑など、ジウォンは数々の「女の敵」と対峙していきます。
ジウォンが彼らを1人ずつ打ち負かしていく姿は勇ましく、観ているこちらまで彼女と一緒に一歩ずつ前進しているような感覚を味わえて、勇気づけられるのです。
中盤まではスカッと! を繰り返し、鬱憤を晴らしてくれます。そして後半以降は、“運命を変えるための鍵を探す”というミステリー要素も加わって、決して飽きることがありません。
BTSの楽曲が使われる名シーンも!
さて、タイムスリップや転生系の韓国ドラマは数多くありますが、その大半は時代劇あるいは何十年か昔に遡るもので、本作のようにたった10年前にタイムスリップする作品は珍しいです。
ジウォンが転生するのは2013年。過去に戻った直後のシーンでは、フィギュアスケートのキム・ヨナ選手や歌手のPSYのポスターが出てきました。世代に関係なく「そういえばあの頃はそうだったな……」と身近に感じやすいのも、感情移入しやすいポイントかもしれません。
また、現在の日本人には馴染みがありませんが、ストーリーの中では2015年に韓国で廃止された「姦通罪」についても触れられています。姦通罪とはつまり、不倫をすると処罰されてしまう法律なのですが、不倫現場に警察が乗り込む事態が現実的にありえたことにあらためて驚かされました。
また、ジウォンと上司のジヒョクがお互いの共通点を発見する重要なシーンでは、BTSの楽曲が、秘密を紐解く鍵として使用されており、名場面のひとつなのでお見逃しなく(世界中のARMYたちが歓喜に沸いたことでしょう)!
スキャンダルを乗り越え、トップ女優の座に返り咲いたパク・ミニョン
さて、昨年は元恋人の詐欺や横領疑惑に巻き込まれるというスキャンダルでイメージが失墜。絶体絶命のピンチを迎えたパク・ミニョンですが……。
以前、本連載の別の記事で、スキャンダル明けである今回のドラマが、彼女にとって今後のキャリアを左右する大きな挑戦になるのではないかと書いたことがあります。
結果、『私の夫と結婚して』は世界中で大ヒット。パク・ミニョンは、まさに華麗なる復活を果たしたと言っていいのではないでしょうか。
ここ数年の主演作品は、そこまでインパクトの強い作品に恵まれなかったというのも正直な感想。本作では、末期がんの主人公という役作りのために37kgまで減量したことが大きく話題になりましたが、“ラブコメの女王”のイメージを潔く脱ぎ捨てたことで、新たなチャンスを掴んだようです。
『私の夫と結婚して』でジウォンを演じている時のパク・ミニョンは、いきいきとしていて、力強いオーラに溢れ、本当に美しいです。上司のジヒョクを演じる、現在ブレイク中の俳優ナ・イヌとの相性も抜群!
ただスカッとするだけじゃない、たくさんのパワーをもらえるドラマ『私の夫と結婚して』は、Prime Video で独占配信中です。
構成/山本理沙
前回記事「忽然と姿を消した女友達は一体どこへ...?韓国映画『ソウルメイト』【梨泰院クラス主演女優】」>>
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