心臓病や循環器系の病気は高齢者や男性がかかるもの、と思っていませんか?
実は女性も、特に更年期以降は気をつけるべき病気なんです。

アメリカで生まれ、世界の女性に循環器病の啓発プロジェクトを行っているのが「Go Red for Women®」。立ち上げから20年が経ち、現在は世界50カ国以上で広がっているこの活動が、今年日本でも活動をスタートしました。

Go Red for Women®では、毎年2月の第1金曜日を「赤をまとう記念日」に指定し、心臓病啓発のためのさまざまなイベントを開催するということで、日本でも健康セミナーが開かれました。

このセミナーに参加したのは、2019年に山手線の電車内で心肺停止で倒れて救急搬送された経験を持つ医療ライターの熊本美加さん。循環器病の性別による違いや、特に更年期以降に気をつけたいことについて、ぜひこの機会に知っておきましょう。

 


実は、アメリカで女性の死因第一位は「心臓病」だった


「Go Red for Women®」をご存知でしょうか? 私は今回初めて知りました。これはアメリカの心臓協会(AHA)が2004年から展開している女性の心臓病などの循環器病の予防・啓発活動プロジェクトのことです。

 

アメリカでは心臓病が女性の死因の第一位で、毎年50万人近くの女性の命を奪っていたのですが、その事実はあまり知られていませんでした。心臓病は高齢者や男性の病気というイメージが強く、診断や検査の基準値も男性のものが多く用いられてきました。そのためか、多くの成人女性は無関心だったのです。

しかし、女性に多くみられる循環器病があることや、同じ心臓の病気でも女性と男性では自覚症状や検査値に違いがあること、女性ではAEDによる救命率が低いことなどが明らかになり、女性たちにも心臓病などの循環器病を自分ごととして捉えてもらうためにはじまったのが「Go Red for Women®」の活動です。

その一環として毎年2月の第1金曜日を「赤をまとう記念日」に指定して、心臓病啓発のためのイベントを開催。赤いドレスを身にまとった著名人が集まったショーやビルやスタジアムを赤でラッピングするなどのアクションで、心臓病の認知度の向上に取り組んできました。20年を経た今では世界50カ国以上に広がっています。

「アメリカでは200万人以上の女性が心臓病の発症リスクを学び、健康的な食事を意識したり、減量の重要性を理解したり、積極的に医師の診察を受けアドバイスに従う人も増えてきた」との成果を、アメリカでこの活動を推進してこられたMichell A.Albert先生(第86代米国心臓協会プレジデント)は語っています。

アクションを起こし続けることは、行動変容に結び付くのだと勇気づけられる事実です。
そして、今年から日本でも活動がはじまりました。

私自身、2019年11月に山手線で心肺停止で倒れる前までは、「心臓病は高齢者や男性のもので、自分とは無縁」だと思い込んでいました。倒れる2週間前から感じていた胸の何とも言えない不快感を更年期障害かストレスのせいだと思い込み放置。医療ライターなのに……。その結果、死の淵を彷徨うことになったのです。

心臓病がまさに自分ごとになった私は、2024年2月2日(金)に赤いマフラーをまいて、東京大学の赤門をぐぐり「Go Red for Women」の健康セミナーの会場である東京大学鉄門記念講堂に向かいました。席につくと周りには赤をまとった女性がいっぱい! パッションあふれる雰囲気のなか「女性のココロと心臓のはなし」というテーマの講演を興味津々で聞き入ってきました。そこで学んだことをみなさんにもシェアしたいと思います。

 
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