令和っぽいドラマ要素:反恋愛至上主義
社会問題に切り込んだり、マイノリティが自然に登場したり、恋愛至上主義に乗れない人が描かれたり。そんな「令和っぽい」ドラマ作品が増えており、それを目にするたび、「時代って確実に変わってる」と励まされたりします。
筆者が考える「令和っぽい」ドラマの特徴は以下の3つです。
① 社会問題を踏み込んで描く、生きづらさを描く
② マイノリティに光を当てる、ごく自然に描かれる
③ 恋愛至上主義からの脱却・反ロマンティックラブイデオロギー
後編では③恋愛至上主義からの脱却・反ロマンティックラブイデオロギーな作品について取り上げたいと思います。
前回記事
コンプラ・多様性に配慮するとテレビはつまらなくなる?抜群に面白い社会派、“行き届いた”エンタメ作品をプレイバック>>
「恋愛至上主義の押し売り」にもう疲れた!
最近特に、ドラマで無理矢理恋愛要素をぶち込むことに拒否反応を示す視聴者も多いです。「ドラマに恋愛要素は必須」という考えはいまだに根強いですし、面白いドラマの鉄則のように言われてきましたが、今はむしろそれが「面白くない」と感じる要素にもなり得るのです。
もちろん、恋愛そのものを否定しているわけでも、恋愛ドラマが面白くないということでもなく、あくまで、恋愛要素入れとけばウケるだろうみたいな魂胆が見え見えだったり、無理やり入れ込まれて本筋のストーリーを邪魔したり、原作にない恋愛設定を入れ込んだりすること、が嫌がられているのだと思います。
先日、日本では大きな話題となった『VIVANT』(TBS系列)がNetflixで配信された結果が芳しくなく、「大コケ」になったことを報じる記事で、その要因として、「海外の視聴者はサスペンスやアクションの中にも、濃密な“ラブ”要素を求める傾向があり、『VIVANT』の苦戦に繋がっているのではないでしょうか」(デイリー新潮 大赤字、続編未定…「VIVANT」が海外で大コケの理由 「幽☆遊☆白書」に“惨敗”で戦略練り直しか)という放送担当記者の解説コメントが取り上げられました。恋愛要素の不足が原因かのような分析だったのですが、読者から「そこじゃない」「むしろ唯一の恋愛要素すら不要だった」と総ツッコミを食らったのでした。
無理矢理押し倒す、いきなりキスはキュンよりゾワツ
また、昭和のドラマなら歓迎されたであろう、いきなりキスしたり押し倒したりという描写も、近年では受け入れられなくなっています。性的同意の重要性が浸透し、そういったシーンは「キュン」ではなく「ゾワッ」です。2023年放送の『星降る夜に』(テレビ朝日)では、1話で、ソロキャンプをする女性に、初対面の男性がいきなり口づけするシーンがあり、結果として恋の始まりとなるのですが、SNS上では「現実で起きたら怖すぎる」という声も結構ありました。ある意味「時代の変化」を印象付けるような出来事だったように思います。
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