「月に一度通っていた、小児科に併設されている作業療法の療育の先生には、自転車などのペダルを前に踏み込むという動作は高度であり、娘はおそらく一生無理だと思う、と言われていたのです。ところが、小学5年のころ“自転車のペダルを前に踏み込む”ことができるようになったのです」
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「障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会」という団体をご存じでしょうか? この会では、障がい児や医療的ケア児を育てながら、働き続けたい親たちが、ゆるやかにつながり、支え合っています。
障がい児や、医療的ケア児を育てながら働こうとする親の前には、両立を続けるためのハードルが幾重にも立ちはだかっています。子どもや家族の暮らしを守るため、この団体は行政や勤め先への働きかけを続けています。ケアの必要な子を育てている親も働き続けることができるよう、育児・介護支援制度を子の年齢で区切らず、障がいや疾患の状態に応じて配慮してもらえるよう、社会を変えようとしているのです。
この会の会長であり、朝日新聞社に勤めながら、重度の知的障がいを伴う重い自閉症の16歳の娘さんを育てていらっしゃる工藤さほさんへのインタビュー、第11回です。
第10回はこちら>>>【障がい児を育てながら働く⑩】4年半ぶりに復職。しかし時短勤務できるのは子どもが小3の終わりまで。「あと何日、働ける?」日々募っていく"焦り"
—— 娘さんは、東京・広尾にある愛育学園で小学校時代をすごしたのですね。
はい。娘が安心して通える小学校が見つかるのか心配だった私は、娘がまだ3歳のころに、自ら地元の教育委員会を訪問し相談しました。そちらのベテラン職員の方のおかげで、「多動」で「閉所が苦手」な娘でも穏やかに楽しく学べそうな場として私立特別支援学校の愛育学園をご紹介いただき、入学しました。
愛育学園で、娘はゆっくりではありますが、確実に成長していきました。さまざまな「できなかった」ことが「できる」ようになっていったんです。
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